PICA involved typeの破裂解離性椎骨動脈瘤に対する選択的塞栓術―PICAの温存の工夫

「はじめに」出血発症の解離性椎骨動脈瘤に対する塞栓術の有用性や迅速性はすでに知られている5). その際問題となるのが, 解離部位と後下小脳動脈(posterior inferior cerebellar artery: PICA)や前脊髄動脈(anterior spinal artery: ASA)との解剖学的位置関係である. それらの分岐動脈が解離部位に関係しなければ, 解離部位を含む椎骨動脈の塞栓で合併症なく治療が完了するが, 解離部位に含まれている場合, コイルによるトラッピングにより梗塞を生じたり, 近位側閉塞後に瘤が増大することがあるため13), 分枝動脈の温存と確実な瘤の閉塞が必要...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 40; no. 5; pp. 332 - 336
Main Authors 和久井, 大輔, 田中, 雄一郎, 森嶋, 啓之, 伊藤, 英道, 橋本, 卓雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2012
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.40.332

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Summary:「はじめに」出血発症の解離性椎骨動脈瘤に対する塞栓術の有用性や迅速性はすでに知られている5). その際問題となるのが, 解離部位と後下小脳動脈(posterior inferior cerebellar artery: PICA)や前脊髄動脈(anterior spinal artery: ASA)との解剖学的位置関係である. それらの分岐動脈が解離部位に関係しなければ, 解離部位を含む椎骨動脈の塞栓で合併症なく治療が完了するが, 解離部位に含まれている場合, コイルによるトラッピングにより梗塞を生じたり, 近位側閉塞後に瘤が増大することがあるため13), 分枝動脈の温存と確実な瘤の閉塞が必要となる8). 今回, PICAが解離部位に含まれた破裂解離性椎骨動脈瘤に対し, 血行再建術を併用しない解離入口部と解離腔の選択的な塞栓術単独治療の1例を報告する. 「症例」38歳, 男性. 頭痛および意識障害を呈し当院へ搬送された. 入院時の意識レベルはGCS E3V4M6, 運動麻痺は認めずWFNS gradeはIIであった.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.40.332