網膜虚血により視力の急性増悪を呈した内頚動脈慢性閉塞症に対して血行再建術を施行した1例

「はじめに」 頚動脈の慢性狭窄閉塞病変が, 眼虚血の原因となることはよく知られた事実である1)2)7). そのメカニズムとしては, artery-to-artery塞栓あるいは血行力学的虚血が考えられている. 一方で, 内頚動脈慢性閉塞病変に対して血行再建術である頭蓋外内バイパス術を行う目的は, 大脳半球の慢性虚血の改善であり, 眼虚血に焦点をあてたバイパス術の適応は確立されていない1)7)10). 今回, 大脳半球症状はないがアセタゾラマイドに対する脳血管反応性が低下していた内頚動脈慢性閉塞症例で, 網膜虚血の進行による急激な視力低下をきたし, 失明予防を目的として浅側頭動脈─中大脳動脈バイ...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 41; no. 5; pp. 368 - 372
Main Authors 吉田, 研二, 小林, 正和, 小笠原, 邦昭, 小川, 彰, 南波, 孝昌, 吉田, 浩二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2013
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.41.368

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Summary:「はじめに」 頚動脈の慢性狭窄閉塞病変が, 眼虚血の原因となることはよく知られた事実である1)2)7). そのメカニズムとしては, artery-to-artery塞栓あるいは血行力学的虚血が考えられている. 一方で, 内頚動脈慢性閉塞病変に対して血行再建術である頭蓋外内バイパス術を行う目的は, 大脳半球の慢性虚血の改善であり, 眼虚血に焦点をあてたバイパス術の適応は確立されていない1)7)10). 今回, 大脳半球症状はないがアセタゾラマイドに対する脳血管反応性が低下していた内頚動脈慢性閉塞症例で, 網膜虚血の進行による急激な視力低下をきたし, 失明予防を目的として浅側頭動脈─中大脳動脈バイパス術を施行し, 視力の改善を得た1例を経験したので報告する. 「症例」 患者: 72歳, 男性. 主訴: 右眼痛. 家族歴: 特記事項なし. 既往歴: 高血圧, 糖尿病, 狭心症. 現病歴: 右眼痛を主訴に当院眼科を受診した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.41.368