小児に対する着用型自動除細動器の有用性

着用型自動除細動器(WCD)の小児での使用報告は少ない.症例1は生来健康な9歳男児.マラソン中に心室細動(VF)を発症し,蘇生された.冠攣縮性狭心症と診断しCa拮抗薬を内服したが,再度VFを発症した.その後,冠動脈CTで左冠動脈起始異常が判明し,冠動脈修復術,植込み型ループ式心電計植込み術が行われ,WCDを導入した.症例2は,重症大動脈弁狭窄症として経過観察中の12歳男児で,サッカー中にVFを発症した.蘇生後,大動脈弁置換術が行われ,WCDを導入した.2症例ともに良好な着用コンプライアンスと機器の理解度を示した.着用中に不整脈イベントはなく,着用終了前に電気生理学的検査や運動負荷試験を行い,V...

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Published in心電図 Vol. 39; no. 2; pp. 115 - 121
Main Authors 今村, 知彦, 連, 翔太, 葭葉, 茂樹, 小柳, 喬幸, 長田, 洋資, 小島, 拓郎, 小林, 俊樹, 住友, 直方
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 18.07.2019
日本不整脈心電学会
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.39.115

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Summary:着用型自動除細動器(WCD)の小児での使用報告は少ない.症例1は生来健康な9歳男児.マラソン中に心室細動(VF)を発症し,蘇生された.冠攣縮性狭心症と診断しCa拮抗薬を内服したが,再度VFを発症した.その後,冠動脈CTで左冠動脈起始異常が判明し,冠動脈修復術,植込み型ループ式心電計植込み術が行われ,WCDを導入した.症例2は,重症大動脈弁狭窄症として経過観察中の12歳男児で,サッカー中にVFを発症した.蘇生後,大動脈弁置換術が行われ,WCDを導入した.2症例ともに良好な着用コンプライアンスと機器の理解度を示した.着用中に不整脈イベントはなく,着用終了前に電気生理学的検査や運動負荷試験を行い,VF再発リスクは低いと判断し,植込み型除細動器を回避した.症例1の胸囲は最小サイズの基準を下回ったが,ベルトを短く縫い縮めることで対応できた.小児の心肺停止蘇生例へのWCD導入は,治療方針決定の上で非常に有用であった.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.39.115