献血におけるレーザー血流計を用いた血管迷走神経反応予知の検討

血管迷走神経反応(VVR)は,最も頻度の高い採血副作用として知られているが,未だにその効果的な防止策が開発されていない.特に成分献血では効果的な介入時期の検討が行われておらず,VVR発症予知が鍵を握っていると推定される.VVR発症の可能性の高い血小板成分献血者を対象として,レーザー血流計による末梢血流量の変動から,発症予知の可能性を検討した.2015年2月から8月までの半年間に,354件のデータを収集し,30件のVVR事例について解析した.VVRの発報水準を求めるため,血流量減少率(DBF)と心拍数減少率(DHR)を計算し,DBFについて3レベルで予知から発症までの時間を推定,その精度を求めた...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 64; no. 6; pp. 718 - 725
Main Authors 山本, 哲, 金井, ひろみ, 菊池, 博也, 塚田, 克史, 算用子, 裕美, 荒木, あゆみ, 牟禮, 一秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 20.12.2018
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.64.718

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Summary:血管迷走神経反応(VVR)は,最も頻度の高い採血副作用として知られているが,未だにその効果的な防止策が開発されていない.特に成分献血では効果的な介入時期の検討が行われておらず,VVR発症予知が鍵を握っていると推定される.VVR発症の可能性の高い血小板成分献血者を対象として,レーザー血流計による末梢血流量の変動から,発症予知の可能性を検討した.2015年2月から8月までの半年間に,354件のデータを収集し,30件のVVR事例について解析した.VVRの発報水準を求めるため,血流量減少率(DBF)と心拍数減少率(DHR)を計算し,DBFについて3レベルで予知から発症までの時間を推定,その精度を求めた.30件のVVR事例における最大血流量減少率(max DBF)の平均値は64.7±13.7%で,非VVR事例の25.6±11.7%より有意に大きな値を示した.max DBFを45%とした時の判別感度は93.3%,正確度は94.4%だった.発報水準をDBF45%とした時,25件のVVR事例を含む44件で警報され,発症例の診断までの平均時間は4.04±4.35分で,警報のVVR発症に対する正確度は56.8%だった.レーザー血流計による採血中モニタリングにより,リアルタイムに計算されるDBFによって,発症前介入が可能な予知ができることが示された.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.64.718