難聴小児および若年成人とその保護者における難聴の理解と認識

聴覚障害者のセルフアドボカシーには自らの障害に関する医学的な知識が必須である. われわれは低年齢で診断され定期的に通院している8~24歳の難聴小児および若年成人88例とその保護者79例を対象に, 聴力図の見方や自身の難聴に関する知識についてアンケート調査を行い, 情報提供のための説明後に確認のアンケート調査を実施した. その結果, 当事者の59%, 保護者の13%が聴力図の見方をよく知らなかった. 難聴の程度を適切に理解していたのは当事者の40%, 保護者の73%であり, 当事者の35%, 保護者の23%は実際よりも軽い難聴と認識していた. 難聴の種類を正しく知っていたのは当事者の18%, 保...

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Published in日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 125; no. 12; pp. 1688 - 1697
Main Authors 臼井, 智子, 増田, 佐和子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 20.12.2022
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
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ISSN2436-5793
2436-5866
DOI10.3950/jibiinkotokeibu.125.12_1688

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Summary:聴覚障害者のセルフアドボカシーには自らの障害に関する医学的な知識が必須である. われわれは低年齢で診断され定期的に通院している8~24歳の難聴小児および若年成人88例とその保護者79例を対象に, 聴力図の見方や自身の難聴に関する知識についてアンケート調査を行い, 情報提供のための説明後に確認のアンケート調査を実施した. その結果, 当事者の59%, 保護者の13%が聴力図の見方をよく知らなかった. 難聴の程度を適切に理解していたのは当事者の40%, 保護者の73%であり, 当事者の35%, 保護者の23%は実際よりも軽い難聴と認識していた. 難聴の種類を正しく知っていたのは当事者の18%, 保護者の69%で, 聴力図の見方, 難聴の程度, 種類全てで保護者の方が当事者よりも正しい知識を持つ割合が有意に高かった. 中学生以上の当事者は小学生に比べ聴力図の見方と難聴の種類を正しく知っている割合が有意に高く, 聾学校在籍・卒業者の保護者は地域校在籍・卒業者の保護者に比べ難聴の種類の正答率が有意に高かった. 当事者の39%, 保護者の58%が聴覚についての説明を希望した. 説明後には聴力図の見方, 難聴の程度・種類, 全てにおいて当事者, 保護者ともに理解した割合は有意に増加した.  低年齢で診断された難聴児者に対して医療者が医学的な情報提供を行う重要性が示され,同時に情報提供のタイミングや伝え方などの課題も明らかになった.
ISSN:2436-5793
2436-5866
DOI:10.3950/jibiinkotokeibu.125.12_1688