全血由来PAS置換血小板濃厚液の室温保存と冷蔵保存における品質の比較

全血から調製されるプール血小板濃厚液(PC)は,少子高齢化による献血者不足対策の一つとなる可能性がある.本検討では,自動血液分離機能を持つ欧州仕様大容量遠心機TACSIを用い,400ml全血から,血漿の一部を血小板保存液(PAS)に置換したプールPAS-PCの調製を行い,21日間にわたる室温(22℃)または冷蔵(4℃)保存における品質を比較した.バフィーコート(BC)4バッグのプール(n=4)では10単位以上,BC 5バッグのプール(n=4)では15単位以上のプールPAS-PCが得られ,それぞれ本邦のPCの基準を満たした.プールPAS-PCの室温保存では,血小板凝集能,低浸透圧ショック回復率(...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 69; no. 5; pp. 589 - 598
Main Authors 生田, 克哉, 金敷, 拓見, 藤原, 満博, 紀野, 修一, 秋野, 光明, 布施, 久恵, 若本, 志乃舞, 有澤, 史倫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 05.10.2023
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.69.589

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Summary:全血から調製されるプール血小板濃厚液(PC)は,少子高齢化による献血者不足対策の一つとなる可能性がある.本検討では,自動血液分離機能を持つ欧州仕様大容量遠心機TACSIを用い,400ml全血から,血漿の一部を血小板保存液(PAS)に置換したプールPAS-PCの調製を行い,21日間にわたる室温(22℃)または冷蔵(4℃)保存における品質を比較した.バフィーコート(BC)4バッグのプール(n=4)では10単位以上,BC 5バッグのプール(n=4)では15単位以上のプールPAS-PCが得られ,それぞれ本邦のPCの基準を満たした.プールPAS-PCの室温保存では,血小板凝集能,低浸透圧ショック回復率(%HSR),血餅形成能が保存5日目まで良好に保たれた.冷蔵保存では,%HSRが保存後早期から低下したが,凝集能や血餅形成能は14日目まで,室温保存5日目と同等に維持された.以上より,欧州仕様TACSIを用いることにより,400ml採血全血から良好な品質をもつプールPAS-PCが得られることが確認された.また,冷蔵により14日間までは保存できる可能性が示唆された.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.69.589