慢性閉塞性肺疾患患者における運動前の随意的な換気量の増加が運動中の呼吸困難および運動耐容能に及ぼす影響
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者では気流制限によって生じる呼吸困難や運動耐容能の低下が問題となる。本研究の目的は,運動前の随意的な換気量の増加が,運動中の呼吸困難および運動耐容能に及ぼす影響を検証することである。対象は安定期COPD患者17名とし,自由呼吸下での定速度歩行試験(control-walking;C-W)および歩行前に随意的に換気量を増加した呼吸下での定速度歩行試験(voluntary hyperventilation-walking;VHV-W)における歩行時間を比較した。測定中は呼気代謝測定装置とパルスオキシメーターにて呼吸循環動態をモニタリングした。その結果,C-Wと比較して...
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Published in | 理学療法学 Vol. 41; no. 2; pp. 102 - 103 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
20.04.2014
日本理学療法士協会 Japanese Physical Therapy Association 公益社団法人日本理学療法士協会 |
Subjects | |
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ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.KJ00009352634 |
Cover
Summary: | 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者では気流制限によって生じる呼吸困難や運動耐容能の低下が問題となる。本研究の目的は,運動前の随意的な換気量の増加が,運動中の呼吸困難および運動耐容能に及ぼす影響を検証することである。対象は安定期COPD患者17名とし,自由呼吸下での定速度歩行試験(control-walking;C-W)および歩行前に随意的に換気量を増加した呼吸下での定速度歩行試験(voluntary hyperventilation-walking;VHV-W)における歩行時間を比較した。測定中は呼気代謝測定装置とパルスオキシメーターにて呼吸循環動態をモニタリングした。その結果,C-Wと比較してVHV-Wでは,歩行前の分時換気量,二酸化炭素排出量および酸素摂取量が増加し,呼気終末二酸化炭素分圧の低下と経皮的酸素飽和度の上昇を認めた。VHV-Wにおいて歩行中の呼気終末二酸化炭素分圧は有意に低値,経皮的酸素飽和度は有意に高値,呼吸困難の程度は有意に低値を示した。歩行時間はVHV-Wで有意に延長した。運動前の随意的な換気量の増加は,COPD患者における運動中の呼吸困難や運動耐容能の改善に有効であると考えられた。 |
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ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.KJ00009352634 |