歩行と走行の移動速度変化における骨盤と体幹回旋運動の相互相関分析

本研究の目的は,歩行・走行時の骨盤と体幹の回旋角度を測定し,移動速度との関係や位相性変化を検討することである。大学陸上競技部の男子短距離選手6名を対象とした。移動速度条件として,歩行は1.3,1.9m/sの2条件,走行は2.5,4.5,6.5m/s及び最高速度の4条件とした。全試技を3台のハイスピードカメラを用いて撮影した。得られた座標値から骨盤回旋角度と体幹回旋角度を求めた。得られた骨盤回旋角度と体幹回旋角度について,時系列データとして相互相関分析を行ったあと,位相性の違いを算出した。その結果,歩行では移動速度の増加と共に骨盤回旋運動の振幅は直線的に増大した。走行では2次曲線の傾向を示し,2...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in理学療法学 Vol. 33; no. 6; pp. 318 - 323
Main Authors 西守, 隆, 伊藤, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 20.10.2006
日本理学療法士協会
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.kj00004382988

Cover

More Information
Summary:本研究の目的は,歩行・走行時の骨盤と体幹の回旋角度を測定し,移動速度との関係や位相性変化を検討することである。大学陸上競技部の男子短距離選手6名を対象とした。移動速度条件として,歩行は1.3,1.9m/sの2条件,走行は2.5,4.5,6.5m/s及び最高速度の4条件とした。全試技を3台のハイスピードカメラを用いて撮影した。得られた座標値から骨盤回旋角度と体幹回旋角度を求めた。得られた骨盤回旋角度と体幹回旋角度について,時系列データとして相互相関分析を行ったあと,位相性の違いを算出した。その結果,歩行では移動速度の増加と共に骨盤回旋運動の振幅は直線的に増大した。走行では2次曲線の傾向を示し,2.5m/sから6.5m/s付近まで増加したが,それ以上の速度では逆に減少した。骨盤回旋と体幹回旋との関係は,歩行では互いに逆方向に回旋していたのに対し,走行では移動速度の増加とともに同方向への回旋運動に変化した。これは移動速度が向上するに従い,歩行周期における骨盤回旋運動の位相が変化し,体幹回旋運動の動きの方向に近づいていくことを示している。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.kj00004382988