回腸回腸瘻および回腸膀胱瘻をきたしたクローン病の一手術例

回腸回腸瘻および回腸膀胱瘻合併クローン病の一手術例を報告する.症例は29歳,女性.平成10年よりクローン病の診断で,Infliximab療法を施行されていた.平成18年10月に腹痛,発熱,下痢をきたし,当院内科に入院した.精査でクローン病による回腸回腸瘻および回腸膀胱瘻を認め,またそのために尿路感染症を呈していた.内科での保存的治療が困難とのことで外科転科となり,手術を施行した.約7cmの下腹部正中切開で開腹した.回腸膀胱間に約5mm大の瘻孔部を確認し,同部を結紮切離した.回腸回腸瘻孔部および切離した回腸膀胱瘻孔部分を含めた回盲部切除術を行い,機能的端々吻合で再建した.術後経過は良好で,術後1...

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Published in山口医学 Vol. 61; no. 4; pp. 163 - 166
Main Authors 岡, 一斉, 濱野, 公一, 藤井, 康宏, 藤井, 雅和, 久我, 貴之, 三谷, 伸之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 01.11.2012
Subjects
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.61.163

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Summary:回腸回腸瘻および回腸膀胱瘻合併クローン病の一手術例を報告する.症例は29歳,女性.平成10年よりクローン病の診断で,Infliximab療法を施行されていた.平成18年10月に腹痛,発熱,下痢をきたし,当院内科に入院した.精査でクローン病による回腸回腸瘻および回腸膀胱瘻を認め,またそのために尿路感染症を呈していた.内科での保存的治療が困難とのことで外科転科となり,手術を施行した.約7cmの下腹部正中切開で開腹した.回腸膀胱間に約5mm大の瘻孔部を確認し,同部を結紮切離した.回腸回腸瘻孔部および切離した回腸膀胱瘻孔部分を含めた回盲部切除術を行い,機能的端々吻合で再建した.術後経過は良好で,術後16日目に内科に転科し,Infliximab療法を再開した.現在経過良好で,薬物治療でクローン病は寛解中である.クローン病は若年者に好発する,原因不明の難治性の炎症性腸疾患であり,術後も再発を繰り返す可能性が高い.そのため,広い吻合口を得られ,かつ最小限の切除が可能な低侵襲手術である小切開開腹アプロ?チが外科手術の第一選択であると考えられる.またInfliximabを用いた術後薬物療法などの集学的治療を行うことを考慮すべきである.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.61.163