概日リズム機能にみられる個体差(<特集>生体機能のバリエーション(70回大会シンポジウムの紹介))

「1. はじめに」 ほとんどの生物の生命活動には, 地球の自転に一致した約24周期の日内変動, すなわち概日リズムが存在する. ヒトの生理機能や内分泌機能, 認知行動機能もまた例外ではない. この概日リズムは, 視床下部に位置する視交叉上核(SCN)を中枢とした生物時計調節機構によって自発的な発振が行われるが, 概日リズムはさまざまな個体内・個体間要因によって特徴的な表現型を示す. 特に社会的に受容される標準的なスケジュールから睡眠のタイミングが逸脱することによって社会的生活が破綻すると, 睡眠覚醒リズム障害として治療対象となる. 本稿では, この概日リズム機能にどのような個体差がみられるのか...

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Bibliographic Details
Published in日本生理人類学会誌 Vol. 19; no. 4; pp. 283 - 290
Main Author 北村, 真吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 25.11.2014
Japan Society of Physiological Anthropology
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.19.4_283

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Summary:「1. はじめに」 ほとんどの生物の生命活動には, 地球の自転に一致した約24周期の日内変動, すなわち概日リズムが存在する. ヒトの生理機能や内分泌機能, 認知行動機能もまた例外ではない. この概日リズムは, 視床下部に位置する視交叉上核(SCN)を中枢とした生物時計調節機構によって自発的な発振が行われるが, 概日リズムはさまざまな個体内・個体間要因によって特徴的な表現型を示す. 特に社会的に受容される標準的なスケジュールから睡眠のタイミングが逸脱することによって社会的生活が破綻すると, 睡眠覚醒リズム障害として治療対象となる. 本稿では, この概日リズム機能にどのような個体差がみられるのか, またその要因について現在の知見を紹介する. 「2. 概日リズム機能の基本」 概日リズム機構は睡眠覚醒サイクル, ホルモン分泌, 体温, 気分などの生理・行動機能の日内リズムを調節する. これらのリズムは外界の明暗サイクルや摂食といった時間的手がかりによって同調される.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.19.4_283