眼球突出をきたし早期治療が有効であった海綿静脈洞血栓症の1例

海綿静脈洞血栓症は稀であり,生命予後にもかかわる疾患である.今回急性副鼻腔炎に合併して本疾患をきたしたが,早期診断・早期治療が奏効した海綿静脈洞血栓症の27歳女性例を経験したので報告する.患者は右眼痛と眼球突出を主訴に近医眼科および耳鼻咽喉科を受診したが,これらの症状が徐々に悪化した.6日後に当院耳鼻咽喉科を受診したところ,急性副鼻腔炎の診断にて精査加療目的で入院となった.眼科および脳神経外科も受診となり,画像検査による上眼静脈や海綿静脈洞の所見から海綿静脈洞血栓症の診断となった.同日,原疾患の治療目的に内視鏡下鼻副鼻腔手術が施行され,さらに抗菌剤点滴の継続および抗凝固療法が施行された.右眼球...

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Published inNeuro-Ophthalmology Japan Vol. 33; no. 3; pp. 272 - 275
Main Authors 海老原, 悟志, 小林, 俊策, 原, 雄時, 鈴木, 利根, 町田, 繁樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.09.2016
The Japanese Neuro-Ophthalmology Society
Subjects
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.33.272

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Summary:海綿静脈洞血栓症は稀であり,生命予後にもかかわる疾患である.今回急性副鼻腔炎に合併して本疾患をきたしたが,早期診断・早期治療が奏効した海綿静脈洞血栓症の27歳女性例を経験したので報告する.患者は右眼痛と眼球突出を主訴に近医眼科および耳鼻咽喉科を受診したが,これらの症状が徐々に悪化した.6日後に当院耳鼻咽喉科を受診したところ,急性副鼻腔炎の診断にて精査加療目的で入院となった.眼科および脳神経外科も受診となり,画像検査による上眼静脈や海綿静脈洞の所見から海綿静脈洞血栓症の診断となった.同日,原疾患の治療目的に内視鏡下鼻副鼻腔手術が施行され,さらに抗菌剤点滴の継続および抗凝固療法が施行された.右眼球突出は次第に改善したが,術後8日目で右外転神経麻痺が認められた.術後17日目で退院となり,術半年後に右外転神経麻痺は消失した.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.33.272