うつ病休職者に対する心理職による集団認知行動療法の効果 : うつ症状、社会機能、職場復帰の困難感の視点から(<特集>日本における心理士によるうつ病に対する認知行動療法のエビデンス)

本研究の目的は、うつ病休職者に対して集団形式の認知行動療法による介入を行い、うつ症状や社会機能、職場復帰の困難感に対する効果について検討することであった。単極性のうつ病と診断された22名を対象に、ガイダンス1回、プログラム9回の全10回の集団認知行動療法プログラムを実施した。その結果、認知行動療法の実施後に、うつ症状の低減と社会機能の回復が示された。つまり、認知行動療法は、うつ症状の改善や日常生活を送るうえで必要とされる社会機能の回復には効果的であると考えられた。一方で、認知行動療法の実施後に職場復帰の困難感の低減は見られなかったことから、うつ病休職者の職場復帰の困難感を低減させるためには、従...

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Published in行動療法研究 Vol. 38; no. 3; pp. 193 - 202
Main Authors 大野, 真由子, 伊藤, 大輔, 白井, 麻理, 鈴木, 伸一, 清水, 馨, 嶋田, 洋徳, 田上, 明日香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 30.09.2012
日本行動療法学会
Subjects
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ISSN0910-6529
2424-2594
DOI10.24468/jjbt.38.3_193

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Summary:本研究の目的は、うつ病休職者に対して集団形式の認知行動療法による介入を行い、うつ症状や社会機能、職場復帰の困難感に対する効果について検討することであった。単極性のうつ病と診断された22名を対象に、ガイダンス1回、プログラム9回の全10回の集団認知行動療法プログラムを実施した。その結果、認知行動療法の実施後に、うつ症状の低減と社会機能の回復が示された。つまり、認知行動療法は、うつ症状の改善や日常生活を送るうえで必要とされる社会機能の回復には効果的であると考えられた。一方で、認知行動療法の実施後に職場復帰の困難感の低減は見られなかったことから、うつ病休職者の職場復帰の困難感を低減させるためには、従来の認知行動療法のみならず、新たな介入コンポーネントや手続きの再考が必要である可能性が示唆された。最後に、職場復帰の困難感の低減のための支援について議論がなされた。
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.38.3_193