簡易型VRエクスポージャーの試み : 雷恐怖症の1症例

本研究の目的は、簡易型VRエクスポージャーを雷恐怖症に適用し、その効果を継時的に評価することであった。市販されている頭部搭載型ディスプレイとボディソニック装置を利用して、従来のVRエクスポージャーと比べて安価で操作が簡便な簡易型VRエクスポージャーシステムを構築した。症例は43歳の女性で、これまで17年間、雷恐怖に苦しんできたが、19セッションの介入の結果、質問紙で測定された雷に対する恐怖反応は顕著に低減し、雷によって日常生活が阻害されることもなくなった。2か月後、7か月後のフォローアップにおいても治療効果は維持されていた。本研究により、簡易型VRエクスポージャーが雷恐怖の治療に有効であること...

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Published in行動療法研究 Vol. 26; no. 2; pp. 97 - 106
Main Authors 貝谷, 久宣, 宮野, 秀市, 坂野, 雄二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 30.09.2000
日本行動療法学会
Subjects
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ISSN0910-6529
2424-2594
DOI10.24468/jjbt.26.2_97

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Summary:本研究の目的は、簡易型VRエクスポージャーを雷恐怖症に適用し、その効果を継時的に評価することであった。市販されている頭部搭載型ディスプレイとボディソニック装置を利用して、従来のVRエクスポージャーと比べて安価で操作が簡便な簡易型VRエクスポージャーシステムを構築した。症例は43歳の女性で、これまで17年間、雷恐怖に苦しんできたが、19セッションの介入の結果、質問紙で測定された雷に対する恐怖反応は顕著に低減し、雷によって日常生活が阻害されることもなくなった。2か月後、7か月後のフォローアップにおいても治療効果は維持されていた。本研究により、簡易型VRエクスポージャーが雷恐怖の治療に有効であることが示された。また、仮想環境における臨場感に影響を及ぼす刺激呈示法や臨場感と治療効果の関係について考察した。
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.26.2_97