若年層の女性を対象とした口臭の意識調査 : 口臭への一般認識と対人行動についてのパイロット研究

本調査は若年層の女性の口臭意識の実態と,口臭と対人行動の関係を明らかにすることを目的とした.対象者は某女子大学学生121名(平均年齢18.5歳)で,質問紙は30問の選択方式とした.その結果,彼女らが口の中で気になることはう蝕や口臭が多く,口臭にならんで気になることとして,歯並びが多く,歯周病や舌苔についてはあまり回答がなかった.一方で,口臭を気にしている者の多くは,口臭のケアができていないことがわかった.次に,コミュニケーションのときに口臭が気になる相手は,友人や先生など社会的関係を有する者に多かった.そこで,口臭に関する対人行動を解析したところ,自分の口臭に対して不安を感じている者ほど会話の...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 61; no. 3; pp. 282 - 287
Main Authors 邵, 仁浩, 安細, 敏弘, 粟野, 秀慈, 濱嵜, 朋子, 峰岡, 哲郎, 吉田, 明弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2011
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.61.3_282

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Summary:本調査は若年層の女性の口臭意識の実態と,口臭と対人行動の関係を明らかにすることを目的とした.対象者は某女子大学学生121名(平均年齢18.5歳)で,質問紙は30問の選択方式とした.その結果,彼女らが口の中で気になることはう蝕や口臭が多く,口臭にならんで気になることとして,歯並びが多く,歯周病や舌苔についてはあまり回答がなかった.一方で,口臭を気にしている者の多くは,口臭のケアができていないことがわかった.次に,コミュニケーションのときに口臭が気になる相手は,友人や先生など社会的関係を有する者に多かった.そこで,口臭に関する対人行動を解析したところ,自分の口臭に対して不安を感じている者ほど会話の距離をとり,自分の口臭を指摘してもらいたい者ほど相手の口臭を指摘した経験があること,相手の口臭が気になる頻度が高い者ほど口臭が対人行動に影響していることがわかった.以上のことから,若年層の女性はう蝕,口臭ならびに口腔の審美性に強い関心を示し,口内清掃に取り組んでいるが,一方で適切な口臭のケアが実践されていないことがわかった.また,自分や相手の口臭を気にする程度が大きいほど対人関係への影響も大きいことがわかった.これらの結果から,今後口臭に関する情報発信や啓発活動のあり方や一般に広く受け入れられる適切な口臭対策法を検討する必要性が示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.61.3_282