特定健診における特定保健指導の対象となる受検者の特徴に関する横断的研究
2008年4月より高齢者医療確保法において,特定健診・特定保健指導の実施が保険者に義務づけられ,天理よろづ相談所健康保険組合においても,特定健診・特定保健指導を行っている.既存の特定健診の研究において指導対象者の特徴を記した研究は数多くあるが,非対象者との比較を行っている研究は少ない.今回の研究では,特定保健指導対象者(保健指導対象者)に加え,特定保健指導非対象者(保健指導非対象者)の背景因子・血液検査データを収集し,実際のデータから両者を比較するとともに保健指導対象者の特徴を明らかにすることを目的とする.さらに,保健指導対象者群における各判断基準に該当する項目の組み合わせパターン,特定健診平...
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| Published in | 天理医学紀要 Vol. 26; no. 2; pp. 89 - 98 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
25.12.2023
天理よろづ相談所医学研究所 |
| Subjects | |
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| ISSN | 1344-1817 2187-2244 |
| DOI | 10.12936/tenrikiyo.26-021 |
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| Summary: | 2008年4月より高齢者医療確保法において,特定健診・特定保健指導の実施が保険者に義務づけられ,天理よろづ相談所健康保険組合においても,特定健診・特定保健指導を行っている.既存の特定健診の研究において指導対象者の特徴を記した研究は数多くあるが,非対象者との比較を行っている研究は少ない.今回の研究では,特定保健指導対象者(保健指導対象者)に加え,特定保健指導非対象者(保健指導非対象者)の背景因子・血液検査データを収集し,実際のデータから両者を比較するとともに保健指導対象者の特徴を明らかにすることを目的とする.さらに,保健指導対象者群における各判断基準に該当する項目の組み合わせパターン,特定健診平均受検率,特定保健指導実施率等の検討を行い,保健指導対象者の特徴と現状について調査・考察した.背景因子・血液検査データの比較では,男女ともに特定保健指導判断項目のほとんどが有意差を認めた.特定保健指導判断項目以外において,両群間に有意差を認めなかった項目は,年齢・身長・総タンパク・ヘモグロビン濃度・eGFRであった.有意差を認めた項目は,体重・ChE・AST・ALT・γ-GTP・尿酸値で,保健指導対象者群が高値を呈していた.これらの項目はメタボリックシンドロームと関連しており,注視する必要がある.保健指導対象者群における各判断基準に該当する項目の組み合わせパターンについては,大きな特徴は見られず,項目の組み合わせは分散していた.当組合の特定健診の平均受検率は92.0%と高かったが,特定保健指導実施率の平均は6.3%と低かった.今後,保健指導実施率を改善する必要がある.2022年度よりe-ラーニングを利用した保健指導を実施開始しており,推移を見守りたい.予防医療の観点からも,今後,特定健診受検者に対し,特定健診およびメタボリックシンドロームに対する理解を深めてもらえるよう,さらなる啓蒙活動が必要と考えた. |
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| ISSN: | 1344-1817 2187-2244 |
| DOI: | 10.12936/tenrikiyo.26-021 |