重症虚血肢に併発した熱傷潰瘍に対し血管内治療とバイパス手術で救肢した1 例

要旨:左第5 趾に虚血性潰瘍を有する85 歳男性.血行再建を希望されず外来で保存的に加療をしていたが,懐炉による低温熱傷により,左足背部・足底部に水泡に続発する広範な潰瘍が形成され緊急入院となった.血管造影検査では左浅大腿動脈と遠位膝窩動脈に狭窄を認め,下腿動脈は閉塞し足部で足背動脈が描出された.バイパスターゲット部位の皮膚に熱傷が及んでいたため,腓骨動脈への血管内治療を先行させ,バイパスターゲット部位の熱傷が治癒後,浅大腿動脈-足背動脈バイパス術を施行した.植皮の追加後,潰瘍は完全に治癒した.熱傷を伴う虚血肢の治療は難渋するが,血管内治療とバイパス手術を二期的に組み合わせることで救肢し得た症...

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Published inJapanese Journal of Vascular Surgery Vol. 24; no. 2; pp. 122 - 125
Main Authors 加賀谷, 英生, 佐藤, 紀, 神谷, 千明, 出口, 順夫, 北岡, 斎, 橋本, 和憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2015
日本血管外科学会
JAPANESE SOCIETY FOR VASCULAR SURGERY
Subjects
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.14-00094

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Summary:要旨:左第5 趾に虚血性潰瘍を有する85 歳男性.血行再建を希望されず外来で保存的に加療をしていたが,懐炉による低温熱傷により,左足背部・足底部に水泡に続発する広範な潰瘍が形成され緊急入院となった.血管造影検査では左浅大腿動脈と遠位膝窩動脈に狭窄を認め,下腿動脈は閉塞し足部で足背動脈が描出された.バイパスターゲット部位の皮膚に熱傷が及んでいたため,腓骨動脈への血管内治療を先行させ,バイパスターゲット部位の熱傷が治癒後,浅大腿動脈-足背動脈バイパス術を施行した.植皮の追加後,潰瘍は完全に治癒した.熱傷を伴う虚血肢の治療は難渋するが,血管内治療とバイパス手術を二期的に組み合わせることで救肢し得た症例を経験したので,バイパス手術に先行させる場合の血管内治療における配慮を含め報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.14-00094