大動脈弁狭窄症を合併したsigmoid septumによる左室流出路狭窄に対して,経皮的中隔心筋焼灼術が著効した1例

従来,経皮的心室中隔焼灼術(PTSMA)は閉塞性肥大型心筋症(HOCM)の治療として行われてきた.肥大型心筋症における左室流出路狭窄は約25%にみられ,肥厚した心室中隔の流出路への張り出しと僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)によって形作られている.一方,sigmoid septumは心室中隔が左室腔に向かって突出することにより,心室中隔と大動脈壁との成す角度が鋭角となる状態で,加齢変化に由来するもので臨床的意義がないといわれていた.しかしながら,sigmoid septumにより左室流出路狭窄を生じ労作時息切れや失神などの症状を呈し,HOCMのようにふるまう例があることが報告されてきた.今回,大...

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Published inShinzo Vol. 49; no. 11; pp. 1148 - 1154
Main Authors 前野, 健一, 後藤, 至, 刀根, 克之, 伊藤, 弘将, 高村, 武志, 坂部, 茂俊, 泉, 大介, 世古, 哲哉, 堀口, 昌秀, 海野, 航平, 伊藤, 正明, 笠井, 篤信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.11.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.1148

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Summary:従来,経皮的心室中隔焼灼術(PTSMA)は閉塞性肥大型心筋症(HOCM)の治療として行われてきた.肥大型心筋症における左室流出路狭窄は約25%にみられ,肥厚した心室中隔の流出路への張り出しと僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)によって形作られている.一方,sigmoid septumは心室中隔が左室腔に向かって突出することにより,心室中隔と大動脈壁との成す角度が鋭角となる状態で,加齢変化に由来するもので臨床的意義がないといわれていた.しかしながら,sigmoid septumにより左室流出路狭窄を生じ労作時息切れや失神などの症状を呈し,HOCMのようにふるまう例があることが報告されてきた.今回,大動脈弁狭窄症を合併するsigmoid septumに対し,適切な圧較差の評価を行うことで症状を呈している原因を左室流出路狭窄と同定し,sigmoid septumに対するPTSMAが著効した症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.1148