心臓再同期療法後の臨床経過および経食道心エコー法によるリード感染例の検討

心臓再同期療法 (cardiac resynchronization therapy ; CRT) は重症心不全に対する新しい治療として施行例が増加している. しかし, 当施設においてCRT (CRT-D, CRT-P) を施行した60例中, 約3年半の観察期間において16例 (27%) が死亡し, このうち11例 (69%) が心不全であった. また, 死亡例は生存例に比し, 腎機能および甲状腺機能が有意に低下していた. 全60例中4例 (6.6%) に発症したデバイス感染は全例CRT施行前より腎機能低下を認め, 3例 (75%) はCRT施行後, カテーテル治療が施行されていた. デバイス...

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Published inShinzo Vol. 47; no. 11; pp. 1295 - 1300
Main Authors 高柳, 寛, 中原, 志朗, 虎渓, 則孝, 虎渓, 瑞穂, 田口, 功, 江口, 美知子, 小林, さゆき, 林, 亜紀子, 小松, 孝昭, 酒井, 良彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.1295

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Summary:心臓再同期療法 (cardiac resynchronization therapy ; CRT) は重症心不全に対する新しい治療として施行例が増加している. しかし, 当施設においてCRT (CRT-D, CRT-P) を施行した60例中, 約3年半の観察期間において16例 (27%) が死亡し, このうち11例 (69%) が心不全であった. また, 死亡例は生存例に比し, 腎機能および甲状腺機能が有意に低下していた. 全60例中4例 (6.6%) に発症したデバイス感染は全例CRT施行前より腎機能低下を認め, 3例 (75%) はCRT施行後, カテーテル治療が施行されていた. デバイス感染例は1年以内に3例 (75%) が死亡した. 以上の結果より, CRT治療後の心臓カテーテル治療は慎重に行うべきであり, CRT治療後も心不全の予防, 特に腎機能を含めた全身管理が予後に大きく影響を及ぼすと考えられた. CRT後のデバイス感染は死亡率が高く, 感染が疑われる場合, 経食道心エコー図検査 (transesophageal echocardiography ; TEE) による早期診断, 治療が重要であると考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.1295