進展度分類に応じた真珠腫に対する鼓室形成術

2010年改定の真珠腫進展度分類に基づいて、最も頻度の高い弛緩部型 (上鼓室型) 真珠腫における進展度に応じた鼓室形成術の術式選択の要点を解説した。 Stage I: 経外耳道的に外耳道を削開、拡大して真珠腫を明視下に置き、耳小骨連鎖を保ったまま真珠腫を摘出する方法が一般的である。 Stage II: 真珠腫の進展により耳小骨連鎖と外耳道後壁の処理が術式選択の上で重要となる。外耳道後壁を削除して広く視野を確保する術式が操作性にも優れる。外耳道後壁を保存する場合は視野と操作性に制限を受けるため、バーや鉗子がスムーズに術野に入るよう乳突削開を進める必要がある。段階手術を行う場合がある。 Stage...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inOtology Japan Vol. 24; no. 5; pp. 801 - 804
Main Author 比野平, 恭之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳科学会 2014
日本耳科学会
Japan Otological Society
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0917-2025
1884-1457
DOI10.11289/otoljpn.24.801

Cover

More Information
Summary:2010年改定の真珠腫進展度分類に基づいて、最も頻度の高い弛緩部型 (上鼓室型) 真珠腫における進展度に応じた鼓室形成術の術式選択の要点を解説した。 Stage I: 経外耳道的に外耳道を削開、拡大して真珠腫を明視下に置き、耳小骨連鎖を保ったまま真珠腫を摘出する方法が一般的である。 Stage II: 真珠腫の進展により耳小骨連鎖と外耳道後壁の処理が術式選択の上で重要となる。外耳道後壁を削除して広く視野を確保する術式が操作性にも優れる。外耳道後壁を保存する場合は視野と操作性に制限を受けるため、バーや鉗子がスムーズに術野に入るよう乳突削開を進める必要がある。段階手術を行う場合がある。 Stage III: 迷路瘻孔や顔面神経麻痺、頭蓋内病変など合併症に対しての対処が必要となる。多くは外耳道後壁の削除を必要とする。耳小骨連鎖の再建は合併症によっては行わない。
ISSN:0917-2025
1884-1457
DOI:10.11289/otoljpn.24.801