最適処方に導くアカデミック・ディテーリング~基礎薬学とエビデンス活用による処方支援
社会情勢の変化や高齢化社会の到来, そして複雑化する医療ニーズに応えるため, 日本の薬剤師の役割は広がってきている. 薬剤師は, 薬物療法にその専門性を発揮し, 国民の健康への貢献が期待されるところである. そのためには, 質の高い薬剤師の養成も, 日本の医療システムを継続し, 向上させるためには不可欠である. このような状況の中, 薬剤師の活動として, 注目されているのがアカデミック・ディテーリングである. これは, 医療従事者, 特に医師に対する教育的なアウトリーチの手法である. 訓練を受けたアカデミック・ディテーラーが, 医薬品や薬物治療に関し, 有効性・安全性・費用対効果を考慮した適切...
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          | Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 139; no. 8; p. 1071 | 
|---|---|
| Main Authors | , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            公益社団法人 日本薬学会
    
        01.08.2019
     日本薬学会  | 
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| ISSN | 0031-6903 1347-5231  | 
| DOI | 10.1248/yakushi.19-00003-F | 
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| Summary: | 社会情勢の変化や高齢化社会の到来, そして複雑化する医療ニーズに応えるため, 日本の薬剤師の役割は広がってきている. 薬剤師は, 薬物療法にその専門性を発揮し, 国民の健康への貢献が期待されるところである. そのためには, 質の高い薬剤師の養成も, 日本の医療システムを継続し, 向上させるためには不可欠である. このような状況の中, 薬剤師の活動として, 注目されているのがアカデミック・ディテーリングである. これは, 医療従事者, 特に医師に対する教育的なアウトリーチの手法である. 訓練を受けたアカデミック・ディテーラーが, 医薬品や薬物治療に関し, 有効性・安全性・費用対効果を考慮した適切な臨床上の判断が行えるように支援・推進する活動をいう. 薬剤師がアカデミック・ディテーリング活動により, 医薬品情報の評価や教育的資質を見極める医薬品情報リテラシーを身に付け, 相手のニーズを考えた情報提供を行うコミュニケーションスキルを向上させれば, 薬物治療の最適化に向けた更なる社会的貢献が期待できる. 海外では既にアカデミック・ディテーリングが薬学教育に導入されており, 国内でもその導入を視野に入れ, 薬剤師の専門性を確立する教育体制作りに寄与したいと考える. そこで, 日本におけるアカデミック・ディテーリングは, 「基礎を臨床につなぐ科学的視点を強化し, さらにエビデンスを基にした公正中立な医薬品比較情報を能動的に発信する新たな医薬品情報提供アプローチ」として定義した. 医薬品の科学的な特性と根拠に基づいた情報の提供により最適な薬物治療, 特に医療費抑制をも目的としており, 医療行政にも大きな影響を与えるものとなると考える. 同じ効果を示す医薬品の科学的特性から比較し, 使い分けポイントを示すアカデミック・ディテーリングは, 患者にとって最適な医薬品が処方されることが期待され, その結果, 安易な新薬の処方集中を回避し, 医療費抑制も期待されると考える. アカデミック・ディテーリングの実践には, 医療の現場と大学教員, そして製薬企業との更なる連携が必要となり, 薬学教育の充実にも大きく貢献することが期待される. 本シンポジウムでは, アカデミック・ディテーリングの普及に向けた大学, 医療現場, 製薬企業の様々な取り組みを紹介し, アカデミック・ディテーリングの将来像に迫る. | 
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| ISSN: | 0031-6903 1347-5231  | 
| DOI: | 10.1248/yakushi.19-00003-F |