A群溶連菌による咽頭感染から感染性心内膜炎を発症した房室中隔欠損術後症例

感染性心内膜炎は, 小児科領域の感染症の中で死亡率はいまだに高く, 塞栓など合併症の頻度も少なくない. 今回, 不完全型房室中隔欠損の根治術後2年を経てA群溶連菌による感染性心内膜炎に罹患した症例を経験した. 軽度の神経症状と著明な炎症反応の上昇があり, 心臓超音波検査で僧帽弁前尖の肥厚および中等度の僧帽弁逆流を認めた. 血液培養からA群溶連菌が検出され, A群溶連菌による感染性心内膜炎と診断した. 発症時, 患児には発症の誘引となることが多いとされる齲歯や歯科での治療歴はなく, A群溶連菌による咽頭感染から感染性心内膜炎をきたしたと思われた. ペニシリンGおよびゲンタマイシンの投与を行い,...

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Published inShinzo Vol. 47; no. 6; pp. 748 - 753
Main Authors 土井, 庄三郎, 平林, 文誉, 田中, 晶, 粟生, 耕太, 白井, 加奈子, 森田, 華奈子, 菊池, 信行, 大澤, 由記子, 小林, 賢司, 磯崎, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2015
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.47.748

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Summary:感染性心内膜炎は, 小児科領域の感染症の中で死亡率はいまだに高く, 塞栓など合併症の頻度も少なくない. 今回, 不完全型房室中隔欠損の根治術後2年を経てA群溶連菌による感染性心内膜炎に罹患した症例を経験した. 軽度の神経症状と著明な炎症反応の上昇があり, 心臓超音波検査で僧帽弁前尖の肥厚および中等度の僧帽弁逆流を認めた. 血液培養からA群溶連菌が検出され, A群溶連菌による感染性心内膜炎と診断した. 発症時, 患児には発症の誘引となることが多いとされる齲歯や歯科での治療歴はなく, A群溶連菌による咽頭感染から感染性心内膜炎をきたしたと思われた. ペニシリンGおよびゲンタマイシンの投与を行い, 僧帽弁逆流の増悪を残し治癒した. 経過中の頭部MRIにて頭蓋内塞栓所見を認めたが神経学的後遺症なく退院した. A群溶連菌感染は小児の感染症としてよく遭遇するが, 感染性心内膜炎の起因菌となることもある. また遺残病変を伴う先天性心疾患の術後症例では, 発熱と中枢神経症状を認める場合には, 感染性心内膜炎の可能性を常に念頭におく必要性がある.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.748