遅発性挫傷性脳内出血を併発した心原性院外心停止の1例
49歳,男性.道路上で倒れているところを発見され救急要請された.救急隊接触時,心停止状態で初期調律が心室細動であったため電気的除細動が施行され自己心拍が再開した状態で覚知より28分後に当院に到着した.来院時も意識障害が遷延しており体温管理療法(34±0.5℃,24時間)を開始した.後頭部に擦過傷があり頭部CTを施行したところ右後頭骨の骨折を認めたが,頭蓋内病変は認めなかった.心電図で虚血性変化を認めヘパリン投与下に緊急冠動脈造影を施行したが,左前下行枝の中等度狭窄以外に有意所見はなかった.造影時には心電図変化は消失しており,心停止の原因は冠攣縮もしくは閉塞後に自然再灌流したものと考えた.入院後...
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Published in | Shinzo Vol. 49; no. 7; pp. 679 - 684 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
15.07.2017
日本心臓財団・日本循環器学会 Japan Heart Foundation |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.49.679 |
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Summary: | 49歳,男性.道路上で倒れているところを発見され救急要請された.救急隊接触時,心停止状態で初期調律が心室細動であったため電気的除細動が施行され自己心拍が再開した状態で覚知より28分後に当院に到着した.来院時も意識障害が遷延しており体温管理療法(34±0.5℃,24時間)を開始した.後頭部に擦過傷があり頭部CTを施行したところ右後頭骨の骨折を認めたが,頭蓋内病変は認めなかった.心電図で虚血性変化を認めヘパリン投与下に緊急冠動脈造影を施行したが,左前下行枝の中等度狭窄以外に有意所見はなかった.造影時には心電図変化は消失しており,心停止の原因は冠攣縮もしくは閉塞後に自然再灌流したものと考えた.入院後は,体温管理を維持し急性冠症候群の可能性を考え抗凝固薬と抗血小板薬を開始した.第2病日,体温管理を終了し復温を開始したが瞳孔不同が出現したため頭部CTを施行したところ,両側前頭葉と側頭葉の脳挫傷と右後頭葉の急性硬膜外血腫を認めた.直ちに抗凝固薬を拮抗し緊急手術を施行した.術後,脳浮腫の軽減目的に体温管理療法(34±0.5℃)を再開したが脳腫脹は抑えられず,第14病日より瞳孔が散大し,第17病日に永眠された.冠動脈疾患において心停止や失神により頭部外傷を併発し来院時に頭蓋内病変を認めた症例についての報告は散見されるが,遅発性挫傷性脳内出血を併発した症例報告はなく文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.49.679 |