持続性心室頻拍を契機に診断された若年女性の冠動脈自然解離による心筋梗塞の1例

症例は35歳女性.会社でのデスクワーク中に失神発作が生じ当院に搬送.救急車内のモニター心電図で持続性単形性心室頻拍(S-VT)が記録されていたが,搬送中にS-VTは自然停止し意識障害も改善した.来院時12誘導心電図ではⅠ,Ⅱ,Ⅲ,aVL,aVF,V1-V6誘導で異常Q波を,心エコー検査では前壁・中隔に広汎な壁運動異常を認め,S-VTの原因は陳旧性心筋梗塞(OMI)であると判断した.また全身性エリテマトーデス(SLE)と抗リン脂質抗体症候群に対し他院でステロイド治療を受けていたが,治療により両者の活動性はない状態であった.冠動脈造影で冠動脈に高度狭窄や閉塞所見を認めなかったものの,左前下行枝中間...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inShinzo Vol. 49; no. 9; pp. 924 - 929
Main Authors 野﨑, みほ, 金子, 光伸, 鈴木, 将敏, 西前, 伊紀子, 笠尾, 昌史, 新田, 宗也, 白井, 徹郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.09.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.924

Cover

More Information
Summary:症例は35歳女性.会社でのデスクワーク中に失神発作が生じ当院に搬送.救急車内のモニター心電図で持続性単形性心室頻拍(S-VT)が記録されていたが,搬送中にS-VTは自然停止し意識障害も改善した.来院時12誘導心電図ではⅠ,Ⅱ,Ⅲ,aVL,aVF,V1-V6誘導で異常Q波を,心エコー検査では前壁・中隔に広汎な壁運動異常を認め,S-VTの原因は陳旧性心筋梗塞(OMI)であると判断した.また全身性エリテマトーデス(SLE)と抗リン脂質抗体症候群に対し他院でステロイド治療を受けていたが,治療により両者の活動性はない状態であった.冠動脈造影で冠動脈に高度狭窄や閉塞所見を認めなかったものの,左前下行枝中間部に冠動脈解離の所見を認め,本病変がOMIの原因と判断した.また血行動態が破綻するS-VTが生じており,アミオダロン治療およびICD治療を行った.S-VTの原因が冠動脈自然解離によるOMIと考えられた若年女性例であり報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.924