正常腎機能患者に発症したシベンゾリン中毒による筋無力症

症例は68歳女性.2007年より発作性心房細動のためピルジカイニド100 mg/日が投与されたていたが,洞調律コントロール不良のため,2010年よりシベンゾリン300 mg/日に変更された.2016年1月X日,呼吸困難,全身脱力感を訴え,当院へ救急搬送された.来院時,経皮的酸素飽和度軽度低下,座位保持不可,眼瞼下垂を認めた.心エコー,頭部および胸部CT,血液生化学検査では明らかな異常を認めなかったが,心電図上PQ延長およびQRS延長を認め,シベンゾリン中毒が疑われた.シベンゾリンを投与中止として翌日には症状は劇的に改善した.入院時の血中シベンゾリン濃度は2341 ng/mLと高値で,シベンゾリ...

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Published inShinzo Vol. 49; no. 7; pp. 672 - 677
Main Authors 小原, 千明, 中尾, 正行, 宮本, 明, 久原, 亮二, 福田, 正浩, 袴田, 尚弘, 丸山, 高, 山内, 靖隆, 秋田, 孝子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.07.2017
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.49.672

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Summary:症例は68歳女性.2007年より発作性心房細動のためピルジカイニド100 mg/日が投与されたていたが,洞調律コントロール不良のため,2010年よりシベンゾリン300 mg/日に変更された.2016年1月X日,呼吸困難,全身脱力感を訴え,当院へ救急搬送された.来院時,経皮的酸素飽和度軽度低下,座位保持不可,眼瞼下垂を認めた.心エコー,頭部および胸部CT,血液生化学検査では明らかな異常を認めなかったが,心電図上PQ延長およびQRS延長を認め,シベンゾリン中毒が疑われた.シベンゾリンを投与中止として翌日には症状は劇的に改善した.入院時の血中シベンゾリン濃度は2341 ng/mLと高値で,シベンゾリン中毒による筋無力症と診断した.シベンゾリンは他のクラスⅠa剤に比較してムスカリン作用が弱いとされ,本例のように常用量のシベンゾリン内服で筋無力症状を生ずることは極めて稀なため,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.672