小野論文に対するEditorial Comment

リアルタイム3次元心エコーは, 超音波装置や探触子の急速な技術の進歩によって, 任意方向のボリュームデータを探触子の操作1つで短時間に収集することができるようになった. さらに, 画質や時間分解能も飛躍的に向上した. 小児循環器領域では, 速い心拍に対するフレームレートの不足, 呼吸性変動による断面のズレ, 画質不良, 画像収集と解析の時間を要することなどの問題から3Dエコーの臨床応用は広く普及してはいなかったが, 現在のリアルタイム3D心エコーは, 高周波3Dプローベの使用や画像の収集方法などを工夫すれば実際の臨床に十分, 使用可能なレベルとなった1). 小児では, 先天性心疾患におけるリア...

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Published inShinzo Vol. 44; no. 1; p. 26
Main Author 瀧聞, 浄宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
日本心臓財団
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.26

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Summary:リアルタイム3次元心エコーは, 超音波装置や探触子の急速な技術の進歩によって, 任意方向のボリュームデータを探触子の操作1つで短時間に収集することができるようになった. さらに, 画質や時間分解能も飛躍的に向上した. 小児循環器領域では, 速い心拍に対するフレームレートの不足, 呼吸性変動による断面のズレ, 画質不良, 画像収集と解析の時間を要することなどの問題から3Dエコーの臨床応用は広く普及してはいなかったが, 現在のリアルタイム3D心エコーは, 高周波3Dプローベの使用や画像の収集方法などを工夫すれば実際の臨床に十分, 使用可能なレベルとなった1). 小児では, 先天性心疾患におけるリアルタイム3D心エコーの活用法として, 術前の心内3次元的解剖学形態の評価, カテーテルインターベンションのガイド, さらに, 定量的評価である先天性心疾患のおける左室, 右室, 房室弁の機能解析などがあげられる. 小野論文では, 新生児期の心房中隔裂開術に2Dおよびリアルタイム3D心エコーをガイドとして用いている. バルーンカテーテル, 左房, 心房中隔, 右房の関係を, 3次元的に情報を得ることで奥行きのある画像を作り出して視認し, インターベンションのガイドとしての有用性を述べている. 透視を使用せず高度な技術を要する手技と考えてよい. 被曝の低減という視点からも非常に有意義な論文である. しかし, 心房内のカテーテル先端を確実に視認する方法, 心房中隔をカテーテルが通過するのに要する時間, バルーンを引く距離の確認の方法などが明確になっていない以上, 安全性の確保という視点からは, いまだ不十分といわざるを得ない. よって, 心房中隔裂開術に対する2D&3D心エコーガイドは, 透視ガイドの代替法ではなく, あくまで緊急時に使用できる可能な1つの方法と考えてよい. むしろ, 透視とともに使用して, 安全性, 確実性, 被曝の低減を目指すのが妥当であろう. 文献 1)Kajimura I, Satomi G, Yasukochi S, et al:Pericardial Three-dimensional Echocardiography. J Echo-cardiogr 2008;6:39-45
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.26