腎盂尿管癌に対する腹腔鏡下リンパ節郭清のコツ

腹腔鏡下腎尿管全摘除術施行時のリンパ節郭清は,標準術式となっていないが,ガイドライン上の推奨もあり今後導入施設の増加が予想される.今回は当施設で施行している腎盂癌,および上中部尿管癌に対する腹腔鏡下腎尿管全摘除術施行時の,腹腔鏡下リンパ節郭清につき手技,およびそのコツにつき解説する.  腎尿管全摘除術は後腹膜アプローチで施行しており,これは特に右側郭清において大動静脈間リンパ節へアプローチしやすいメリットがあるためである.郭清範囲は左右ともに上縁を腎動脈上縁,下縁を総腸骨動静脈分岐部とし,右側は下大静脈リンパ節(大動脈後リンパ節を含む),大動静脈間リンパ節,左側は傍大動脈リンパ節としている....

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Published inJapanese Journal of Endourology Vol. 27; no. 2; pp. 268 - 272
Main Author 荒木, 千裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本泌尿器内視鏡学会 01.09.2014
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ISSN2186-1889
2187-4700
DOI10.11302/jsejje.27.268

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Summary:腹腔鏡下腎尿管全摘除術施行時のリンパ節郭清は,標準術式となっていないが,ガイドライン上の推奨もあり今後導入施設の増加が予想される.今回は当施設で施行している腎盂癌,および上中部尿管癌に対する腹腔鏡下腎尿管全摘除術施行時の,腹腔鏡下リンパ節郭清につき手技,およびそのコツにつき解説する.  腎尿管全摘除術は後腹膜アプローチで施行しており,これは特に右側郭清において大動静脈間リンパ節へアプローチしやすいメリットがあるためである.郭清範囲は左右ともに上縁を腎動脈上縁,下縁を総腸骨動静脈分岐部とし,右側は下大静脈リンパ節(大動脈後リンパ節を含む),大動静脈間リンパ節,左側は傍大動脈リンパ節としている.  リンパ節郭清は腎,尿管の処理後に施行しており,両側郭清ともにリンパ節は一塊として採取している.現在まで38例に対し施行しており,手術時間は平均53分,採取リンパ節は平均13個であった.正確な診断,および予後改善のためには,最低8個のリンパ節郭清が必要との報告がされており,術式としての目的を十分に果たしているものと考えられる.  本術式は大血管の処理を必要とする術式であり,術者のみでなくチームとしての腹腔鏡手術の習熟が必要とされると考えられる.標準的な術式でないこともあり,無理をせず施行することが望ましいと思われる.
ISSN:2186-1889
2187-4700
DOI:10.11302/jsejje.27.268