骨格筋再生における細胞移植とリハビリテーション

「1. はじめに」 骨格筋組織は, 成人体重の約30~40%を占める最大の臓器であり, 収縮により惹起される関節運動, 姿勢維持, 呼吸活動, 熱産生が主な機能であると考えられてきた. 関節運動や姿勢維持は, 人間のADL・QOLに直結し, 呼吸活動は, 生命維持に必須である. さらに, 近年になって, 骨格筋収縮がトリガーとなって分泌されるマイオカインや代謝性産物が多数発見された. そして, それらの働きによって, 骨格筋が全身の代謝調節に重要な役割を果たしていることも明らかとなり, 骨格筋はこれまで考えられてきた以上に多くの役割を担っていることが分かってきた. そのため, 骨格筋が筋萎縮な...

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Published in日本基礎理学療法学雑誌 Vol. 21; no. 1; pp. 33 - 42
Main Authors 後藤, 萌, 竹中(蜷川), 菜々, 櫻井, 英俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本基礎理学療法学会 18.12.2018
Japanese Association of Physical Therapy Fundamentals
Subjects
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ISSN2186-0742
2434-0731
DOI10.24780/jptf.21.1_33

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Summary:「1. はじめに」 骨格筋組織は, 成人体重の約30~40%を占める最大の臓器であり, 収縮により惹起される関節運動, 姿勢維持, 呼吸活動, 熱産生が主な機能であると考えられてきた. 関節運動や姿勢維持は, 人間のADL・QOLに直結し, 呼吸活動は, 生命維持に必須である. さらに, 近年になって, 骨格筋収縮がトリガーとなって分泌されるマイオカインや代謝性産物が多数発見された. そして, それらの働きによって, 骨格筋が全身の代謝調節に重要な役割を果たしていることも明らかとなり, 骨格筋はこれまで考えられてきた以上に多くの役割を担っていることが分かってきた. そのため, 骨格筋が筋萎縮などの原因により機能不全状態に陥ると, ロコモティブシンドロームや, メタボリックシンドローム等, 全身性の病態に結びつく. さらに, 筋萎縮の原因には, 加齢と関連したサルコペニア, 寝たきりや骨折等の不活動状態に伴う廃用症候群, 糖尿病などの慢性・代謝性疾患やがん悪液質(カヘキシア)などが挙げられるが, それらに加え, デュシェンヌ型筋ジストロフィーに代表されるような難治性疾患を含む遺伝性疾患も数多く挙げられる.
ISSN:2186-0742
2434-0731
DOI:10.24780/jptf.21.1_33