白血病モデルラットの骨格筋に対する温熱刺激の影響

「緒言」 がん患者に見られる筋力低下の要因は, 廃用性筋萎縮だけでなくがん悪液質が大きく影響しているといわれている. がん悪液質とは, 進行性の体重減少と筋肉量減少を伴う複合的な栄養不良の症候群である. しかし, 単純な摂取不足によるものだけでなく, 炎症性サイトカインの作用が関与していると報告されている. 具体的には, 腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor-α ; 以下, TNFα)を代表とする炎症性サイトカインが, ユビキチンプロテアソーム系のユビキチンリガーゼであるMuscle RING-Finger Protein-1(以下, MuRF1)を誘導し, 筋肉と脂肪の分...

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Published in日本基礎理学療法学雑誌 Vol. 21; no. 1; pp. 79 - 87
Main Authors 川内, 春奈, 井上, 慎太郎, 坂本, 淳哉, 松崎, 敏郎, 沖田, 実, 中野, 治郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本基礎理学療法学会 18.12.2018
Japanese Association of Physical Therapy Fundamentals
Subjects
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ISSN2186-0742
2434-0731
DOI10.24780/jptf.21.1_79

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Summary:「緒言」 がん患者に見られる筋力低下の要因は, 廃用性筋萎縮だけでなくがん悪液質が大きく影響しているといわれている. がん悪液質とは, 進行性の体重減少と筋肉量減少を伴う複合的な栄養不良の症候群である. しかし, 単純な摂取不足によるものだけでなく, 炎症性サイトカインの作用が関与していると報告されている. 具体的には, 腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor-α ; 以下, TNFα)を代表とする炎症性サイトカインが, ユビキチンプロテアソーム系のユビキチンリガーゼであるMuscle RING-Finger Protein-1(以下, MuRF1)を誘導し, 筋肉と脂肪の分解を促進すると考えられている. 実際に, がんモデルマウスを用いた基礎研究においては, TNFαとMuRF1の発現増加とともに腓腹筋の筋線維横断面積が減少することや, 抗TNFα抗体を皮下投与してMuRF1の作用を抑制させると腓腹筋, 肝臓, 心臓のタンパク質分解が軽減することが報告されている.
ISSN:2186-0742
2434-0731
DOI:10.24780/jptf.21.1_79