筋骨格シミュレーション解析が理学療法にもたらすもの

「緒言」身体機能が低下した患者の動作能力の評価や治療手段の検討には動作解析が必要不可欠であると考える理学療法士は多く, 患者を対象とした動作解析研究はこれまで多く報告されている. 関節運動と床反力データを用いた逆動力学の運動解析研究では関節周りに生じる回転力(関節モーメント)を調べることができる. 変形性膝関節症患者の立脚初期膝伸展トルク減少や脳血管障害患者の立脚後期足底屈トルク減少など動作における患者特有の力学的問題点が明らかにできるため, これまでの研究結果は理学療法において運動療法の発展に貢献してきた. 筋が関節モーメントを発揮すると考えると, 関節モーメントを調べることで筋の発揮張力を...

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Published in日本基礎理学療法学雑誌 Vol. 20; no. 2; pp. 22 - 29
Main Authors 小栢, 進也, 沖田, 祐介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本基礎理学療法学会 08.11.2017
Japanese Association of Physical Therapy Fundamentals
Subjects
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ISSN2186-0742
2434-0731
DOI10.24780/jptf.20.2_22

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Summary:「緒言」身体機能が低下した患者の動作能力の評価や治療手段の検討には動作解析が必要不可欠であると考える理学療法士は多く, 患者を対象とした動作解析研究はこれまで多く報告されている. 関節運動と床反力データを用いた逆動力学の運動解析研究では関節周りに生じる回転力(関節モーメント)を調べることができる. 変形性膝関節症患者の立脚初期膝伸展トルク減少や脳血管障害患者の立脚後期足底屈トルク減少など動作における患者特有の力学的問題点が明らかにできるため, これまでの研究結果は理学療法において運動療法の発展に貢献してきた. 筋が関節モーメントを発揮すると考えると, 関節モーメントを調べることで筋の発揮張力を推測することができる. しかし, 関節モーメントと筋張力の関係性は筋のモーメントアームが関与することや, 運動の自由度に対して関与する筋が非常に多いため, 従来の逆動力学の運動解析研究では筋と運動の直接的関係性を明らかにすることができないという限界がある.
ISSN:2186-0742
2434-0731
DOI:10.24780/jptf.20.2_22