通所リハビリテーションにおける嚥下障害リスクの把握およびスクリーニングを用いた評価方法の組み合わせについて
【目的】通所リハビリテーションを利用している要支援・要介護高齢者の嚥下障害への対応は,安定した自宅での生活を続けていくことを支援する意味において重要であり,そのためには適切な嚥下評価が求められる.本研究の目的は,通所リハビリテーション利用者の嚥下障害リスクの把握に加え,リスクに影響を与える要因の特定および個々を適切に評価するスクリーニングの組み合わせと影響要因との関係を明らかにすることである.【方法】2016 年1 月から2021 年4 月までの間に施設を利用した65 歳以上を対象に,3 種類の嚥下評価の結果と,基礎的情報ならびに関連要因を調査した.【結果】対象者は81 人,平均年齢は82.3...
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Published in | 日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 26; no. 2; pp. 109 - 120 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
31.08.2022
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1343-8441 2434-2254 |
DOI | 10.32136/jsdr.26.2_109 |
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Summary: | 【目的】通所リハビリテーションを利用している要支援・要介護高齢者の嚥下障害への対応は,安定した自宅での生活を続けていくことを支援する意味において重要であり,そのためには適切な嚥下評価が求められる.本研究の目的は,通所リハビリテーション利用者の嚥下障害リスクの把握に加え,リスクに影響を与える要因の特定および個々を適切に評価するスクリーニングの組み合わせと影響要因との関係を明らかにすることである.【方法】2016 年1 月から2021 年4 月までの間に施設を利用した65 歳以上を対象に,3 種類の嚥下評価の結果と,基礎的情報ならびに関連要因を調査した.【結果】対象者は81 人,平均年齢は82.3 歳であった.嚥下評価の結果として,聖隷式嚥下質問紙とMMASA がともに29.6%,RSST では42.0% に嚥下障害リスクがあると判定された.聖隷式嚥下質問紙では栄養状態に重い症状があると答えた割合が一番高く,MMASA では絞扼反射の得点率が一番低かった.また,3 種類の嚥下評価の判定が一致するわけではなく,嚥下障害リスクありと判定された組み合わせが7 通りに分かれたことから,それぞれ評価方法に基づく特徴がある可能性がうかがわれた.【考察】利用者の特徴として低栄養の状態にあるものが比較的多いものの,誤嚥や肺炎に関しては,それを引き起こすほど重篤な症状をもつまでには至っていない者が多い傾向があると考えられた.また,評価方法の組み合わせについて,聖隷式嚥下質問紙とRSST は認知症の利用者において優先的に用い,反対に認知機能が低下した利用者についてはMMASA も含めて判定することで,嚥下障害リスクを広く捉えやすくなる可能性があると考えられた.今後は,リスクのあった利用者の嚥下造影検査の結果も含めて調査するなどし,より適切な評価ができるようにすることが課題である. |
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ISSN: | 1343-8441 2434-2254 |
DOI: | 10.32136/jsdr.26.2_109 |