高齢者の音声知覚特性に基づいた音声の明瞭化加工法の研究

近年の超高齢社会において,高齢者の加齢に伴う聴覚機能の低下が問題視されている.聴覚機能が低下すると,会話によるコミュニケーションにも支障をきたす.近年は,音声対話システムを利用した高齢者サポートシステムなどの開発も行われているが,このようなシステムで用いられる合成音声は高齢者にとっては聞き取りにくいものである.そこで本研究では,まず高齢者に音声の聴取実験を行ってもらい,その結果から聴覚特性の分析を行った.聴取実験では,単語了解度試験を行い,音素単位(子音部,母音部)での識別率を求めた.その結果,摩擦音,破擦音,破裂音同士での異聴が多かった.この結果を受けて,我々は音声に対して高齢者の聴覚特性に...

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Published inJournal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics Vol. 30; no. 6; pp. 840 - 845
Main Authors 北岡, 教英, 一万田, 郁仁, 長尾, 拓海, 西村, 良太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Iizuka 日本知能情報ファジィ学会 15.12.2018
Japan Science and Technology Agency
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ISSN1347-7986
1881-7203
DOI10.3156/jsoft.30.6_840

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Summary:近年の超高齢社会において,高齢者の加齢に伴う聴覚機能の低下が問題視されている.聴覚機能が低下すると,会話によるコミュニケーションにも支障をきたす.近年は,音声対話システムを利用した高齢者サポートシステムなどの開発も行われているが,このようなシステムで用いられる合成音声は高齢者にとっては聞き取りにくいものである.そこで本研究では,まず高齢者に音声の聴取実験を行ってもらい,その結果から聴覚特性の分析を行った.聴取実験では,単語了解度試験を行い,音素単位(子音部,母音部)での識別率を求めた.その結果,摩擦音,破擦音,破裂音同士での異聴が多かった.この結果を受けて,我々は音声に対して高齢者の聴覚特性に基づいた子音強調加工を施し,高齢者にとって聞き取りやすい音声を作成することができるかを調査した.音声加工は,特に異聴が多かった /k/,/s/,/t/,/h/,/ky/,/sy/,/ch/ の音素に対して行った.具体的な加工法としては,子音部の振幅を原音声比400%で増幅させるものである.加工音声の評価実験では,単語了解度試験による聴取実験を行った被験者と同じ被験者に聴取実験を行ってもらい,得られた聞き取り結果の正答率の比較を行った.結果,いくつかの音素においては,音声を加工することで正答率が上昇した.
Bibliography:ObjectType-Article-1
SourceType-Scholarly Journals-1
ObjectType-Feature-2
content type line 14
ISSN:1347-7986
1881-7203
DOI:10.3156/jsoft.30.6_840