骨格性下顎前突症患者の咀嚼時脳血流上昇は正常咬合者よりも低い

「緒言」咀嚼機能は, 咬合状態, 咀嚼筋, 感覚神経, および脳神経の協調的な働きにより機能する. 感覚運動ニューロンは特定の下顎運動に関与する三叉神経運動ニューロンとシナプスを形成している. また, 三叉神経を介した歯根膜機械受容器からの上行信号は脳に広範の覚醒信号を誘発する. これらのことより, 咀嚼機能は脳機能と密接に関連している. 咀嚼機能と脳機能の関係について, 人を対象としたいくつかの臨床研究では, この関係を裏付けている. 補綴による咬合改善により, 前頭葉機能が著しく向上した報告や義歯の装着は認知症の改善に貢献していたなどの報告がみられる. 咀嚼と脳血流の相互作用を陽電子放出断...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 31; no. 3; pp. 172 - 180
Main Authors 佐原, 早彩, 及川, 崇, 和田, 悟史, 小澤, 絵里香, 中村, 浩昭, 友成, 博, 菅崎, 弘幸, 山田, 祐子, 狩谷, 千尋, 村上, 真澄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 2021
日本顎変形症学会
Subjects
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd.31.172

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Summary:「緒言」咀嚼機能は, 咬合状態, 咀嚼筋, 感覚神経, および脳神経の協調的な働きにより機能する. 感覚運動ニューロンは特定の下顎運動に関与する三叉神経運動ニューロンとシナプスを形成している. また, 三叉神経を介した歯根膜機械受容器からの上行信号は脳に広範の覚醒信号を誘発する. これらのことより, 咀嚼機能は脳機能と密接に関連している. 咀嚼機能と脳機能の関係について, 人を対象としたいくつかの臨床研究では, この関係を裏付けている. 補綴による咬合改善により, 前頭葉機能が著しく向上した報告や義歯の装着は認知症の改善に貢献していたなどの報告がみられる. 咀嚼と脳血流の相互作用を陽電子放出断層撮影で調査した研究では, 咀嚼が脳の広範囲領域を活性化することを明らかにした. また, 脳血流量と脳機能は密接に関係しており, 脳の神経活動が起こると, エネルギー源となる酸素やグルコースを含む多くの動脈血を供給する調整機構が働き, 活動神経近傍の組織では, 血流量が増大するとされている.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd.31.172