香り刺激による唾液量と唾液中コルチゾール濃度に関する検討

現在,ストレス社会により唾液量が減少し口腔乾燥を訴える患者が増えている.唾液量の減少は,歯科口腔疾患だけでなく,嚥下障害にも関連し全身の健康に影響を与える.我々は唾液分泌を促進する簡便で安全な方法としてにおい刺激に着目し,本研究ではパイナップルの香り刺激に対する唾液量と唾液中コルチゾール濃度への影響を検討することを目的とした.健常成人10名を対象に,香り試行と香りあり試行の2試行を実施させ,実験中の唾液量と唾液中コルチゾール濃度を測定した.香りあり試行では,パイナップル香料を滴下したムエットを被験者の鼻孔から約3 cmの位置に設置し,鼻呼吸を行わせることにより香り刺激を与えた.その結果,パイナ...

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Published in人間工学 Vol. 57; no. 3; pp. 107 - 110
Main Authors 黒川, 亜紀子, 野原, 佳織, 下村, 義弘, 小林, 利彰, 夏, 亜麗, 張, 琰雯, 貨泉, 朋香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人間工学会 15.06.2021
日本人間工学会
Subjects
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ISSN0549-4974
1884-2844
DOI10.5100/jje.57.107

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Summary:現在,ストレス社会により唾液量が減少し口腔乾燥を訴える患者が増えている.唾液量の減少は,歯科口腔疾患だけでなく,嚥下障害にも関連し全身の健康に影響を与える.我々は唾液分泌を促進する簡便で安全な方法としてにおい刺激に着目し,本研究ではパイナップルの香り刺激に対する唾液量と唾液中コルチゾール濃度への影響を検討することを目的とした.健常成人10名を対象に,香り試行と香りあり試行の2試行を実施させ,実験中の唾液量と唾液中コルチゾール濃度を測定した.香りあり試行では,パイナップル香料を滴下したムエットを被験者の鼻孔から約3 cmの位置に設置し,鼻呼吸を行わせることにより香り刺激を与えた.その結果,パイナップルの香りにより唾液量は有意に多くなったが,唾液中コルチゾール濃度の有意な差は認められなかった.
ISSN:0549-4974
1884-2844
DOI:10.5100/jje.57.107