事業所での集団歯科健診および歯科医院での個別歯科健診への受診と外来の歯科診療医療費および診療実日数との関係:縦断研究

事業所での集団歯科健診 (う蝕と歯周病のスクリーニングおよび保健指導) と歯科医院での個別歯科健診への受診が任意に選択できる某企業の従業員を対象として,2014~2018年度の歯科健診受診状況と2015~2019年度の外来の歯科診療医療費および診療実日数との関係を検討した.2014~2019年度の全期間に,某企業に在籍した従業員2,104名 (男性43.0%,平均年齢37.9歳) を対象とした.目的変数を年平均外来歯科診療医療費または診療実日数,説明変数を5年間の集団および個別歯科健診の受診状況,共変量を性および年齢とした負の二項回帰モデルを用いてrate ratio (RR) とその95%信...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 74; no. 4; pp. 290 - 297
Main Authors 入江, 浩一郎, アルタンバガナ, ナンデン ウチラル, 持田, 悠貴, 渕田, 慎也, 山本, 龍生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2024
日本口腔衛生学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.74.4_290

Cover

More Information
Summary:事業所での集団歯科健診 (う蝕と歯周病のスクリーニングおよび保健指導) と歯科医院での個別歯科健診への受診が任意に選択できる某企業の従業員を対象として,2014~2018年度の歯科健診受診状況と2015~2019年度の外来の歯科診療医療費および診療実日数との関係を検討した.2014~2019年度の全期間に,某企業に在籍した従業員2,104名 (男性43.0%,平均年齢37.9歳) を対象とした.目的変数を年平均外来歯科診療医療費または診療実日数,説明変数を5年間の集団および個別歯科健診の受診状況,共変量を性および年齢とした負の二項回帰モデルを用いてrate ratio (RR) とその95%信頼区間 (CI) を算出した.集団および個別の歯科健診を1回以上受診した者はそれぞれ80.0%と2.0%であった.年平均歯科診療医療費では集団歯科健診を5年間に4~5回受診した者のRR (95%CI) は,受診の者に比べて0.87(0.77–0.98) と有意に低かった.年平均歯科診療実日数では,個別歯科健診を受診した者と集団歯科健診を4~5回受診した者のRR (95%CI) は,受診の者に比べてそれぞれ0.71 (0.51–0.99) と0.86 (0.76–0.97) と有意に低かった.これらの結果から,集団および個別の歯科健診の受診は歯科への受診回数を抑制し,集団歯科健診の継続的な受診は歯科医療費を寄与することが示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.74.4_290