Molecular allelo-karyotypingと小児急性リンパ性白血病

小児急性リンパ性白血病 (ALL) は, さまざまなゲノム異常を背景として発症する.しかし, これまで報告されているゲノム異常は白血病細胞の発生に重要ではあるが, 小児ALLの病態のすべてを説明することはできない.一方, 近年のゲノム解析技術の進歩は目覚ましく, マイクロアレイを用いた解析により, 網羅的かつ高解像度にゲノムに生じている異常を検出することが可能となった.さらにわれわれが開発したCNAG/AsCNARアルゴリズムで解析を行うことで, 2本のアレルのそれぞれについてコピー数を推定することができ, かつ正常対象が得られない検体や, 正常細胞が70-80%混入した検体においても高精度な...

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Bibliographic Details
Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 22; no. 5-6; pp. 323 - 330
Main Authors 加藤, 元博, 小川, 誠司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 31.12.2008
日本小児血液学会
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.22.323

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Summary:小児急性リンパ性白血病 (ALL) は, さまざまなゲノム異常を背景として発症する.しかし, これまで報告されているゲノム異常は白血病細胞の発生に重要ではあるが, 小児ALLの病態のすべてを説明することはできない.一方, 近年のゲノム解析技術の進歩は目覚ましく, マイクロアレイを用いた解析により, 網羅的かつ高解像度にゲノムに生じている異常を検出することが可能となった.さらにわれわれが開発したCNAG/AsCNARアルゴリズムで解析を行うことで, 2本のアレルのそれぞれについてコピー数を推定することができ, かつ正常対象が得られない検体や, 正常細胞が70-80%混入した検体においても高精度なアレル特異的ゲノムコピー数の解析が可能となった (molecular allelo-karyotyping).この手法を用いて小児ALL399例を体系的に解析した結果, 発症の基盤となるゲノム異常のプロファイルが明らかになり, PAX5をはじめとしたB細胞の分化に関与する遺伝子の異常が小児ALLの病態形成に重要であることが示された.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.22.323