人工股関節全置換術後の自覚的脚長差に対する矢状面上の腰椎骨盤運動の有用性について症例考察から仮説生成を行った1症例

【目的】人工股関節全置換術(以下,THA)後の自覚的脚長差(以下,PLLD)に対する矢状面上の腰椎骨盤運動の有用性ついて症例考察から仮説を生成する。【症例紹介】症例は末期左変形性股関節症にて,左THA を施行した60代女性である。術後3日目に股関節内転可動域制限と疼痛とともに,著明なPLLD を認めたために,通常理学療法に加え,体幹側屈運動中心に介入を実施した。術後8日目には,疼痛,股関節内転可動域制限は改善したものの,術側への骨盤側方傾斜,座位における腰椎後弯と骨盤後傾の可動域制限,そしてPLLD は残存したままであった。【経過】術後9日目より,通常理学療法に加え,矢状面上の体幹屈伸運動を開...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in理学療法の歩み Vol. 36; no. 1; pp. 58 - 61
Main Authors 常松, 大志, 白石, 彩佳, 鈴木, 佑介, 伊東, 宏佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会 2025
宮城県理学療法士会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0917-2688
1882-1464
DOI10.11342/mpta.36.58

Cover

More Information
Summary:【目的】人工股関節全置換術(以下,THA)後の自覚的脚長差(以下,PLLD)に対する矢状面上の腰椎骨盤運動の有用性ついて症例考察から仮説を生成する。【症例紹介】症例は末期左変形性股関節症にて,左THA を施行した60代女性である。術後3日目に股関節内転可動域制限と疼痛とともに,著明なPLLD を認めたために,通常理学療法に加え,体幹側屈運動中心に介入を実施した。術後8日目には,疼痛,股関節内転可動域制限は改善したものの,術側への骨盤側方傾斜,座位における腰椎後弯と骨盤後傾の可動域制限,そしてPLLD は残存したままであった。【経過】術後9日目より,通常理学療法に加え,矢状面上の体幹屈伸運動を開始した。術後14日目には骨盤側方傾斜の改善,座位における腰椎後弯と骨盤後傾の可動性拡大,そして,PLLD の改善が得られた。【結論】矢状面上の腰椎骨盤運動はPLLD を有するTHA 後の患者への対応として有用となる可能性がある。
ISSN:0917-2688
1882-1464
DOI:10.11342/mpta.36.58