民族多様性と市場メカニズムに関する実験研究:ケニアにおける相対取引実験

本研究では,市場参加者の出身民族の相違が,市場メカニズムのパフォーマンスにどのような影響を及ぼすかを吟味するために,ケニアの主要民族であるルオ人,キクユ人,そしてカレンジン人を対象として,相対取引実験を実施した.保守的で慎重な性格であるとされるカレンジン人が参加した取引では,ルオ人やキクユ人だけが参加する取引と異なり,取引価格と保有量は公平な均衡へ収束した.民族の違いは市場結果に多大な影響を与える可能性があるが,対面で取引を行う異民族間の相対取引でも,所得や厚生の不平等といった大きな格差が生じるとは限らないことを観察した....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJournal of Behavioral Economics and Finance Vol. 11; pp. 96 - 109
Main Authors 大和, 毅彦, 下村, 研一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 行動経済学会 06.02.2019
Association of Behavioral Economics and Finance
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2185-3568
DOI10.11167/jbef.11.96

Cover

More Information
Summary:本研究では,市場参加者の出身民族の相違が,市場メカニズムのパフォーマンスにどのような影響を及ぼすかを吟味するために,ケニアの主要民族であるルオ人,キクユ人,そしてカレンジン人を対象として,相対取引実験を実施した.保守的で慎重な性格であるとされるカレンジン人が参加した取引では,ルオ人やキクユ人だけが参加する取引と異なり,取引価格と保有量は公平な均衡へ収束した.民族の違いは市場結果に多大な影響を与える可能性があるが,対面で取引を行う異民族間の相対取引でも,所得や厚生の不平等といった大きな格差が生じるとは限らないことを観察した.
ISSN:2185-3568
DOI:10.11167/jbef.11.96