C型慢性肝疾患における亜鉛代謝
「I;はじめに」亜鉛は健康成人において生体内に約2g含有される代表的な必須微量元素の 一つである. また亜鉛は, 生体内で約300種におよぶ金属酵素(metal enzyme), 金属要求酵素(metal-activated enzyme)の活性発現に作用しており核酸や蛋白代謝などに必須とされている(1, 2). このように亜鉛は, 生体内に存在する多数の酵素の成分としても極めて重要な役割を担っている. したがって亜鉛欠乏状態は, 生体において様々な病態を引き起こす. 慢性C型肝疾患患者においては, 慣性肝炎, 代償性肝硬変, 非代償性肝硬変と病態の進展と共に, 血中亜鉛濃度が低値を示すことが...
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| Published in | BIOMEDICAL RESEARCH ON TRACE ELEMENTS Vol. 18; no. 1; pp. 20 - 25 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本微量元素学会
2007
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0916-717X 1880-1404 |
| DOI | 10.11299/brte.18.20 |
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| Summary: | 「I;はじめに」亜鉛は健康成人において生体内に約2g含有される代表的な必須微量元素の 一つである. また亜鉛は, 生体内で約300種におよぶ金属酵素(metal enzyme), 金属要求酵素(metal-activated enzyme)の活性発現に作用しており核酸や蛋白代謝などに必須とされている(1, 2). このように亜鉛は, 生体内に存在する多数の酵素の成分としても極めて重要な役割を担っている. したがって亜鉛欠乏状態は, 生体において様々な病態を引き起こす. 慢性C型肝疾患患者においては, 慣性肝炎, 代償性肝硬変, 非代償性肝硬変と病態の進展と共に, 血中亜鉛濃度が低値を示すことが報告されている(3-6). 特に肝不全状態にある症例は著明な低亜鉛状態に陥っており, 亜鉛補充療法にて肝病態の改善が認められることも報告されている(7, 8). この項では, 慢性C型肝炎, 肝硬変, 肝細胞癌(HCC)症例の病態や予後に, 亜鉛濃度がどのような影響を与えているかについて述べる. さらに慢性C型肝炎ないし肝硬変例に亜鉛含有製剤(Promac1.0g/day;ゼリア製薬工業東京)を投与し, prospectiveにその長期予後を非投与群と比較検討した結果についても述べる. II;対象と方法 1. 研究対象 1)2004年5月より2006年8月までの期間に, 日本大学板橋病院消化器科の著者らの外来を受診した, 血中HCV RNA陽性の無症候性キャリアー(ASC)6例, C型慢性肝炎(CH)100例ないし肝硬変(LC)29例を対象とした. |
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| ISSN: | 0916-717X 1880-1404 |
| DOI: | 10.11299/brte.18.20 |