剤型別フッ化物配合歯磨剤使用後の唾液中フッ素イオンの経時的変化

フッ化物配合歯磨剤にはペースト状,ジェル状,フォーム状,液状など種々の剤型があり,各々の特徴を生かした用途がある.今回,剤型の違いによる歯磨剤使用後の唾液中フッ素イオン濃度に差が認められるか否かを明らかにするために,11名の健康な成人を対象に,ペースト,ジェル,フォームタイプの950 ppm F,NaF配合歯磨剤を用いて,同量(0.5 g),同用法(スクラッビンク法で2分間磨いた後,15 mLの蒸留水で5秒間洗口)で磨いた場合の唾液中フッ素イオン濃度について,ブラッシング直後から4時間後までの値を測定し比較検討した.その結果,唾液中フッ素イオン濃度に有意差が認められ,フォームタイプが最も高く,...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 36 - 45
Main Authors 八幡, 祥子, 藤田, 裕介, 廣瀬, 弥奈, 村田, 幸枝, 福田, 敦史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 01.01.2021
日本口腔衛生学会
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.71.1_36

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Summary:フッ化物配合歯磨剤にはペースト状,ジェル状,フォーム状,液状など種々の剤型があり,各々の特徴を生かした用途がある.今回,剤型の違いによる歯磨剤使用後の唾液中フッ素イオン濃度に差が認められるか否かを明らかにするために,11名の健康な成人を対象に,ペースト,ジェル,フォームタイプの950 ppm F,NaF配合歯磨剤を用いて,同量(0.5 g),同用法(スクラッビンク法で2分間磨いた後,15 mLの蒸留水で5秒間洗口)で磨いた場合の唾液中フッ素イオン濃度について,ブラッシング直後から4時間後までの値を測定し比較検討した.その結果,唾液中フッ素イオン濃度に有意差が認められ,フォームタイプが最も高く,4時間後も歯質の脱灰抑制効果や再石灰化効果があるといわれる0.09 ppm F付近を維持していた.また,唾液中フッ素イオン濃度-時間曲線下面積(AUC)を比較した結果,フォームタイプの総フッ素イオン量(AUC0‒240min)が有意に高い値を示し,発泡剤を含まないジェルタイプが最も低かった.したがって,フォームタイプは他の剤型よりもブラッシング後の唾液中へのフッ素イオンの停滞性が高いことが明らかになった.これは,フォームタイプは発泡剤の他に可溶化剤や発泡補助剤を含むため,泡によりFイオンが短時間に素早く口腔内全体に広がり,それらが粘膜などの口腔組織に吸着もしくは取り込まれた後,徐々に唾液中に遊離するためと考えられた.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.71.1_36