CASP6会議報告―日本勢がんばる

「1. CASPとは(高田)」“ナンバー1よりオンリー1”という心地良いフレーズが一時流行した. 科学研究は本来オンリー1を目指すものであるけれど, 時として一つの問題解決に対する競争の中でナンバー1を狙ってしまうこともある. その典型例がCASP※(タンパク質構造予測技術評価会議)かもしれない. アミノ酸配列情報からタンパク質の天然立体構造を予測する, いわゆる構造予測問題※は, 生物物理の古典的未解決問題として, 多くの理論家の間で熾烈な競争の最中である. 予測技術を正しく評価することは意外に難しい. 研究者は普通, PDBに登録されている構造を“予測”してみて“よくできました”という論文...

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Published in生物物理 Vol. 45; no. 3; pp. 165 - 167
Main Authors 千見寺, 浄慈, 高田, 彰二, 本野, 千恵, 富井, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2005
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.45.165

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Summary:「1. CASPとは(高田)」“ナンバー1よりオンリー1”という心地良いフレーズが一時流行した. 科学研究は本来オンリー1を目指すものであるけれど, 時として一つの問題解決に対する競争の中でナンバー1を狙ってしまうこともある. その典型例がCASP※(タンパク質構造予測技術評価会議)かもしれない. アミノ酸配列情報からタンパク質の天然立体構造を予測する, いわゆる構造予測問題※は, 生物物理の古典的未解決問題として, 多くの理論家の間で熾烈な競争の最中である. 予測技術を正しく評価することは意外に難しい. 研究者は普通, PDBに登録されている構造を“予測”してみて“よくできました”という論文を書く. 答えを知っていて予測するから, 予測過程でズルをしているか否か, 論文を読んで看破することは困難である. そこでCASPが登場した. CASPでは, 実験的に近々構造決定が終わる予定のタンパク質配列情報を実験グループからもらい, 主催者のウェブページ上で初夏に“問題”として公開する.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.45.165