「周術期静脈血栓塞栓症に対する薬物的予防法」によせて

「周術期静脈血栓塞栓症(VTE)に対する薬物的予防法」をテーマとして, 基調講演では, 県西部浜松医療センター院長小林隆夫先生が, わが国における静脈血栓塞栓症予防のこれまでの経過および今後の見通しについて講演された. その中で, 今後は薬物的予防法の拡大により, 周術期VTEのさらなる減少が期待されるが, 副作用としての出血性合併症対策への配慮も重要であると強調された. 北里大学黒岩政之先生は, 日本麻酔科学会周術期肺塞栓症ワーキンググループの調査結果から, わが国の周術期PTE発症頻度には2度の大きな変化があり, その一つは予防ガイドライン制定および予防管理料算定によるものであり, 二つめ...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 30; no. 7; p. 986
Main Authors 瀬尾, 憲正, 小林, 隆夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2010
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.30.986

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Summary:「周術期静脈血栓塞栓症(VTE)に対する薬物的予防法」をテーマとして, 基調講演では, 県西部浜松医療センター院長小林隆夫先生が, わが国における静脈血栓塞栓症予防のこれまでの経過および今後の見通しについて講演された. その中で, 今後は薬物的予防法の拡大により, 周術期VTEのさらなる減少が期待されるが, 副作用としての出血性合併症対策への配慮も重要であると強調された. 北里大学黒岩政之先生は, 日本麻酔科学会周術期肺塞栓症ワーキンググループの調査結果から, わが国の周術期PTE発症頻度には2度の大きな変化があり, その一つは予防ガイドライン制定および予防管理料算定によるものであり, 二つめは薬物的予防法の拡大が契機であることを示した. しかしながら, neuraxial blockによる術後鎮痛法がいまだ多く施行されていることから, 薬物的予防法との併用は慎重にすべきであり, 十分なインフォームドコンセントと管理プロトコールの作成が必要であることを提議された.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.30.986