KS-3 IgG4関連疾患はHLA領域とFCGR2B領域に関連する

【目的】IgG4関連疾患(IgG4RD)は近年確立した疾患概念であり,I型自己免疫性膵炎,IgG4関連涙腺・唾液腺炎など多くの疾患を包含し,自己免疫が関わると想定されている.本研究では,IgG4RDに関わる遺伝要因を同定することを目的とする.【方法】48施設から集積した合計850名の症例群と2082名の健常者群のDNAを用い,2,310,564の一塩基多型(SNP)のジェノタイピングを行った.HLA領域についてはSNP2HLAプログラムを用いたimputationを行い,ダイレクトシーケンスも用いてHLAアレルの決定を行った.IgG4RD発症において有意に関連していた遺伝子多型とIgG4RDの...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 40; no. 4; p. 293a
Main Authors 山口, 泉, 三森, 経世, 川口, 修治, 千葉, 勉, 太田, 正穂, 川, 茂幸, 寺尾, 知可史, 松田, 文彦, 日笠, 幸一郎, 児玉, 裕三, 内田, 一茂, 栗山, 勝利, 岡崎, 和一, 塩川, 雅広, 川口, 喬久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2017
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.40.293a

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Summary:【目的】IgG4関連疾患(IgG4RD)は近年確立した疾患概念であり,I型自己免疫性膵炎,IgG4関連涙腺・唾液腺炎など多くの疾患を包含し,自己免疫が関わると想定されている.本研究では,IgG4RDに関わる遺伝要因を同定することを目的とする.【方法】48施設から集積した合計850名の症例群と2082名の健常者群のDNAを用い,2,310,564の一塩基多型(SNP)のジェノタイピングを行った.HLA領域についてはSNP2HLAプログラムを用いたimputationを行い,ダイレクトシーケンスも用いてHLAアレルの決定を行った.IgG4RD発症において有意に関連していた遺伝子多型とIgG4RDの臨床的特徴との関連も解析した.【成績】HLA領域とFCGR2B領域の二領域がIgG4RDに有意に関連していた(p≦1.2x10−11).HLA領域は,HLA-DRB1とHLA-Aに有意な独立したピークを同定した.ペプチド結合部位であるHLADRβ鎖の11番目のアミノ酸部位が最も強く関連しており(p = 1.3x10−22),この部位は他の自己免疫性疾患である関節リウマチ・全身性エリテマトーデスにおいて最も関連を示す部位と共通であった.FCGR2BのSNPは最もFCGR2B遺伝子発現と関連する多型であり,アミノ酸変異を伴う多型と連鎖不平衡にあった.さらに,このSNPはHLA領域の多型と相互作用を示すほか,再発率にも関連していた.【結論】IgG4RDには複数のHLA領域とFCGR2B領域が関連し,他の自己免疫性疾患と共通の遺伝的背景を持つ.FCGR2Bは発症だけでなく予後にも関連する.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.40.293a