P1-33 フィンゴリモドは多発性硬化症において血中BAFF濃度を上昇させることでtransitional B細胞を選択的に増加させる

【背景】フィンゴリモドは多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)の治療薬であり,血中のリンパ球を減少させることがその主な作用機序と考えられている.われわれはフィンゴリモドが血中transitional B細胞の割合を増加させることを報告したが,そのメカニズムは不明であった.BAFFはB細胞の成熟,生存に関与するサイトカインであり,動物においてはtransitional期以降のnaive B細胞の増殖に関与している.【対象,方法】30例のフィンゴリモド服用MS患者,32例の無治療MS患者,25例の健常者において血中BAFF濃度,可溶性TACIおよびBCMAをELISAで測定し...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 40; no. 4; p. 306a
Main Authors 深澤, 俊行, 中村, 雅一, 網野, 格, 中野, 史人, 新野, 正明, 藤木, 直人, 土井, 静樹, 宮崎, 雄生, 秋本, 幸子, 南, 尚哉, 菊地, 誠志, 高橋, 恵理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2017
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.40.306a

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Summary:【背景】フィンゴリモドは多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)の治療薬であり,血中のリンパ球を減少させることがその主な作用機序と考えられている.われわれはフィンゴリモドが血中transitional B細胞の割合を増加させることを報告したが,そのメカニズムは不明であった.BAFFはB細胞の成熟,生存に関与するサイトカインであり,動物においてはtransitional期以降のnaive B細胞の増殖に関与している.【対象,方法】30例のフィンゴリモド服用MS患者,32例の無治療MS患者,25例の健常者において血中BAFF濃度,可溶性TACIおよびBCMAをELISAで測定した.加えて,22例のフィンゴリモド服用MS患者においてFACSで各B細胞亜分画の割合を解析し血中BAFF濃度との関係を検討した.【結果】フィンゴリモド服用MS患者では血中BAFF濃度が無治療MS患者,健常者と比べて有意に高値であった.血中BAFF濃度とtransitional B細胞の割合に有意な正の相関が見られた.フィンゴリモド服用MS患者,無治療MS患者,健常者間で血中可溶性TACI,BCMA濃度に差は見られなかった.【結論】フィンゴリモドはMSにおいてBAFFを誘導することでmemory B細胞や形質細胞を活性化させることなくtransitional B細胞を増加させる.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.40.306a