P5-007  全身性強皮症に対するPersonalized Medicineの導入

  全身性強皮症は自己免疫を背景とした血管障害,線維化という結びつきにくい3つの現象が混在した,膠原病である.患者毎の重症度は大きく異なっていて,病態,治療薬に対する反応性は様々である.また,強皮症患者数が少なく評価方法が発達していないため,大規模の臨床試験が行われにくい.現在,科学的に証明された,皮膚線維化に対する治療薬は存在しない.一方で,研究や症例報告レベルでは,多種の薬の線維化に対する有効性が報告されている.従って,患者毎に最適な治療薬を選択することで“Personalized Medicine”,多数の患者で有効性が報告されていない薬剤であってもその患者では有効となる可能性が考えられ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 37; no. 4; p. 354a
Main Authors John, VARGA, 小村, 一浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2014
Online AccessGet full text
ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.37.354a

Cover

More Information
Summary:  全身性強皮症は自己免疫を背景とした血管障害,線維化という結びつきにくい3つの現象が混在した,膠原病である.患者毎の重症度は大きく異なっていて,病態,治療薬に対する反応性は様々である.また,強皮症患者数が少なく評価方法が発達していないため,大規模の臨床試験が行われにくい.現在,科学的に証明された,皮膚線維化に対する治療薬は存在しない.一方で,研究や症例報告レベルでは,多種の薬の線維化に対する有効性が報告されている.従って,患者毎に最適な治療薬を選択することで“Personalized Medicine”,多数の患者で有効性が報告されていない薬剤であってもその患者では有効となる可能性が考えられる.Personalized Medicineの強皮症での運用方法を検討するため,イマチニブもしくはCDDOが6名の強皮症患者皮膚由来の線維芽細胞のコラーゲン産生に及ぼす効果について検討した.その結果4名の強皮症患者ではCDDOの方がイマチニブより優れた抗線維化能を示したのに対し,2名ではイマチニブの方が強い抗線維化能を示した.このことより,患者により最適な抗線維化薬は異なっていて,実際に患者に投与する前にin vitroの系で患者自身の線維芽細胞での治療反応性を予想する系を樹立できる可能性が考えられた.今後,強皮症の診療においてPersonalized Medicineが推進されることが期待された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.37.354a