気管・気管支原発の Low-grade malignant tumor : 気管支鏡所見および臨床経過の検討

中枢気道発生のいわゆるLow-grade malignant tumorとされている自験例(中心型カルチノイド10例, 腺様嚢胞癌5例, 唾液腺型混合腫瘍 : 以下混合腫瘍3例)について, 気管支鏡所見および臨床経過を検討した。カルチノイドは, 気管支腔内への増殖が主体で, 全例ポリープ型を示し, 周囲粘膜への明らかな浸潤所見は見られず, 蒼白ないし赤色調で, 壊死を伴うものがみられた。腺様嚢胞癌は, より中枢側の気管・気管支より発生し, 形態はポリープ型から粘膜下浸潤型まで様々であったが, いずれも強い長軸進展の傾向がみられ, 腫瘍周囲の気管支壁粘膜下への浸潤を認めたものが多かった。全例蒼白...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 16; no. 1; pp. 11 - 20
Main Authors 高田, 実, 菊井, 正紀, 瀧藤, 伸英, 大森, 久紀, 玉野井, 優水, 森野, 英男, 楠, 洋子, 梁, 尚志, 中川, 和彦, 福岡, 正博, 松井, 薫, 益田, 典幸, 今村, 純孝, 平島, 智徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1994
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.16.1_11

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Summary:中枢気道発生のいわゆるLow-grade malignant tumorとされている自験例(中心型カルチノイド10例, 腺様嚢胞癌5例, 唾液腺型混合腫瘍 : 以下混合腫瘍3例)について, 気管支鏡所見および臨床経過を検討した。カルチノイドは, 気管支腔内への増殖が主体で, 全例ポリープ型を示し, 周囲粘膜への明らかな浸潤所見は見られず, 蒼白ないし赤色調で, 壊死を伴うものがみられた。腺様嚢胞癌は, より中枢側の気管・気管支より発生し, 形態はポリープ型から粘膜下浸潤型まで様々であったが, いずれも強い長軸進展の傾向がみられ, 腫瘍周囲の気管支壁粘膜下への浸潤を認めたものが多かった。全例蒼白調で粘膜に被われた凹凸不整を呈し, 樹枝状の血管怒張の著明なものが多かった。混合腫瘍では形態的な特徴は指摘できないが, 周囲粘膜下への浸潤は認めなかった。中心型カルチノイドには進行癌は見られなかったが, 腺様嚢胞癌の3例, 混合腫瘍の1例にIII, IV期の進行癌が見られ, それらは全例癌死であった。手術を施行した症例の生存期間は6 153ヵ月(平均60ヵ月)で全例生存中であるが, 全体の5年生存率は, カルチノイド, 腺様嚢胞癌, 混合腫瘍でそれぞれ67%, 30%, 67%と低値であった。low-grade malignant tumorといえども進行例や非手術例の予後は悪く, 早期発見が重要であると考えられた。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.16.1_11