甲状腺クリーゼの治療中に,甲状腺中毒性ミオパチーと思われる筋力低下が顕在化した1例
【はじめに】 甲状腺クリーゼとは, 甲状腺ホルモン作用過剰に対する生命の代償機構の破綻により複数臓器が機能不全に陥った結果, 生命の危機に直面した緊急治療を要する病態をいう. 発症すると予後不良で致死率20%以上といわれている. また, バセドウ病にはしばしば筋力低下を伴うことが多く, 鑑別診断が重要である. 【症例】 30歳女性. 3年前にバセドウ病の診断を受けチアマゾール内服加療を開始されたが半年後より自己中断していた. 入院3カ月前より体重減少, 1カ月前より両下腿浮腫, 2週間前より呼吸困難が出現し, 4日前より39度の発熱も伴ったため, 独歩で近医救急外来を受診した. 受診時は意識清...
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Published in | 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 8; no. 1; pp. 38 - 43 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2012
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ISSN | 1349-8975 1880-2877 |
DOI | 10.1272/manms.8.38 |
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Summary: | 【はじめに】 甲状腺クリーゼとは, 甲状腺ホルモン作用過剰に対する生命の代償機構の破綻により複数臓器が機能不全に陥った結果, 生命の危機に直面した緊急治療を要する病態をいう. 発症すると予後不良で致死率20%以上といわれている. また, バセドウ病にはしばしば筋力低下を伴うことが多く, 鑑別診断が重要である. 【症例】 30歳女性. 3年前にバセドウ病の診断を受けチアマゾール内服加療を開始されたが半年後より自己中断していた. 入院3カ月前より体重減少, 1カ月前より両下腿浮腫, 2週間前より呼吸困難が出現し, 4日前より39度の発熱も伴ったため, 独歩で近医救急外来を受診した. 受診時は意識清明であるも, 体温39℃, 脈拍120回/分, 心房細動(図1), 両側胸水貯留, 肺うっ血, 心拡大(図2), 甲状腺腫大(図3)を認めた. 甲状腺クリーゼに伴ううっ血性心不全を疑われ, 人工呼吸器管理および, チアマゾール, ヨウ化カリウムの投与を開始された. |
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ISSN: | 1349-8975 1880-2877 |
DOI: | 10.1272/manms.8.38 |