筋ジストロフィーの食道入口開大不全に対するバルーン拡張法の試み

食道入口開大不全を有する筋ジストロフィー患者にバルーン拡張法を適用し, その効果を検討した. 対象は筋ジストロフィー8名(年齢13-62歳)全例, 嚥下造影(VF)にて食道入口開大不全による梨状窩残留を認め, 頸部可動域制限のため頸部突出法が困難な症例である. 12-14Frフォーリーカテーテルを経口的に食道入口を越えて挿入し、バルーンに2ccの空気を入れたのち、カテーテルを引き抜く方法を用いた. VF所見において, バルーン拡張法後に, 嚥下時の食道入口最大径は1.2-3.0倍に拡大を認め, 5名で咽頭通過時間が短縮, 3名で梨状窩残留量が減少していた. 摂食場面でバルーン拡張法を毎食前に1...

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Published in医療 Vol. 59; no. 10; pp. 556 - 560
Main Authors 馬木, 良文, 田上, 恵美子, 野崎, 園子, 神野, 進, 多田羅, 勝義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 2005
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.59.556

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Summary:食道入口開大不全を有する筋ジストロフィー患者にバルーン拡張法を適用し, その効果を検討した. 対象は筋ジストロフィー8名(年齢13-62歳)全例, 嚥下造影(VF)にて食道入口開大不全による梨状窩残留を認め, 頸部可動域制限のため頸部突出法が困難な症例である. 12-14Frフォーリーカテーテルを経口的に食道入口を越えて挿入し、バルーンに2ccの空気を入れたのち、カテーテルを引き抜く方法を用いた. VF所見において, バルーン拡張法後に, 嚥下時の食道入口最大径は1.2-3.0倍に拡大を認め, 5名で咽頭通過時間が短縮, 3名で梨状窩残留量が減少していた. 摂食場面でバルーン拡張法を毎食前に1回おこなった結果, 6名で食事時間の短縮やのみこみやすさの自覚があり, 5名では咽頭残留量の減少も確認した. 筋ジストロフィーの嚥下障害への間接訓練として確立されたものはきわめて少なく, 今後多数例での検討が必要であると考え報告した.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.59.556