イレウス症状を呈した腸アニサキス症の1例

イレウス症状で発症し, 小腸壁内に虫体を確認した腸アニサキス症の1例を経験した. 症例は41才男性で, 開腹術の既往なく, 発症前日に刺身を食べていた. イレウス管にてイレウス解除後, 開腹術を施行した. 回腸末端から約80cm口側に存在した腫瘤を中心に約15cmの小腸部分切除を行つた. 術後の病理学的, 免疫血清学的検索にて腸アニサキス症と判明した. 腸切除を施行された腸アニサキス症の本邦報告92例について分析してみると, 年令は20~30才台に多く, 術前診断はイレウス, 虫垂炎が多い. 術前から正診していた症例はわずか3例であり, これは問診から確診を得ている. 病変部位は回盲部から10...

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Published in医療 Vol. 37; no. 8; pp. 815 - 819
Main Authors 山下, 純一, 有田, 哲正, 堀江, 二郎, 並川, 和男, 岡部, 正人, 宇都宮, 高賢, 浜田, 勢治, 荒木, 昌典, 高城, 克義, 川村, 亮機
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1983
医療同好会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.37.815

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Summary:イレウス症状で発症し, 小腸壁内に虫体を確認した腸アニサキス症の1例を経験した. 症例は41才男性で, 開腹術の既往なく, 発症前日に刺身を食べていた. イレウス管にてイレウス解除後, 開腹術を施行した. 回腸末端から約80cm口側に存在した腫瘤を中心に約15cmの小腸部分切除を行つた. 術後の病理学的, 免疫血清学的検索にて腸アニサキス症と判明した. 腸切除を施行された腸アニサキス症の本邦報告92例について分析してみると, 年令は20~30才台に多く, 術前診断はイレウス, 虫垂炎が多い. 術前から正診していた症例はわずか3例であり, これは問診から確診を得ている. 病変部位は回盲部から100cm以内が76%を占めている. 治療は保存的によいといわれているが, 現状は術前に確診がついていないため, 開腹術を施行される場合が大半である. 急性腹症の場合は, 腸アニサキス症も考慮し対処する必要がある.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.37.815