流出路起源心室性頻拍性不整脈の臨床

左室及び右室流出路(RVOT)は, 解剖学的に隣接し, 不整脈の発生機序も類似することが多いため, 現在流出路起源心室性頻拍性不整脈と総称されるようになって来ている. 今回は, 左室流出路(LVOT)心外膜及び心内膜起源頻拍性不整脈, 肺動脈(PA)起源頻拍性不整脈についてRVOT起源及び僧帽弁輪起源頻拍性不整脈とも対比しながら講演する. まとめともいうべき今回作成した診断戦略のalgorithmを下記に提示する. 左脚ブロック型頻拍性不整脈のうち, V1, 2誘導でR波が高く, 胸部誘導移行帯が反時計方向に回転している場合には, RVOTからの焼灼が不成功である場合があり, LVOT心外膜側...

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Published inTHE SHINSHU MEDICAL JOURNAL Vol. 58; no. 4; pp. 179 - 180
Main Author 佐々木康之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2010
The Shinshu Medical Society
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ISSN0037-3826
1884-6580
DOI10.11441/shinshumedj.58.179

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Summary:左室及び右室流出路(RVOT)は, 解剖学的に隣接し, 不整脈の発生機序も類似することが多いため, 現在流出路起源心室性頻拍性不整脈と総称されるようになって来ている. 今回は, 左室流出路(LVOT)心外膜及び心内膜起源頻拍性不整脈, 肺動脈(PA)起源頻拍性不整脈についてRVOT起源及び僧帽弁輪起源頻拍性不整脈とも対比しながら講演する. まとめともいうべき今回作成した診断戦略のalgorithmを下記に提示する. 左脚ブロック型頻拍性不整脈のうち, V1, 2誘導でR波が高く, 胸部誘導移行帯が反時計方向に回転している場合には, RVOTからの焼灼が不成功である場合があり, LVOT心外膜側からの通電にて治癒することが報告され, 注目を浴びた. この場合には, V5, 6誘導でS波を認めない. 完全な右脚ブロック波形頻拍性不整脈で, 下方軸かつV5, 6誘導でS波を認めない場合には, LVOT心内膜側起源が疑われる. いずれにしても, 戦略的には大心静脈内に電極カテーテルを挿入し(LVOT心外膜側電位を記録することになる), 不整脈発生の早期性を検討し, RVOTで焼灼不成功の場合には, 更に上方のPA内にもカテーテルを進め, その早期性を検討する必要がある. 僧帽弁輪起源の場合には, V5,6誘導でS波を認め, 電気軸は, 下方上方軸と様々を呈する. 更には, 当科で経験した具体的な症例を提示し, 診断治療方法の苦労談も交えながら解説した.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.58.179