子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎の3症例

子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎は比較的稀な疾患といわれているが, 我々は平成5年から11年までに3例を経験した。症例は77歳, 83歳, 91歳といずれも高齢で, 軽度腹痛, 微熱, 排便不調など軽い初発症状が約1週間持続した後に急性腹症 (腹痛, 嘔気, 嘔吐) を来たし, 汎発性腹膜炎 (腸管穿孔疑い) の診断で緊急外科手術となった。術前検査では血液炎症所見に比べ理学的所見に乏しく, 画像上必ずしも遊離ガスを認めず診断に苦慮したが, 開腹で子宮穿孔が確認され, 3例中2例は予後不良であった。今後の高齢化社会では本疾患の増加が予想され, 高齢婦人の急性腹症での鑑別疾患の1つとして重要と思わ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 49; no. 4; pp. 631 - 636
Main Authors 山下, 三郎, 小野, 利夫, 松井, 規親, 阿部, 博昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2000
日本農村医学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.49.631

Cover

More Information
Summary:子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎は比較的稀な疾患といわれているが, 我々は平成5年から11年までに3例を経験した。症例は77歳, 83歳, 91歳といずれも高齢で, 軽度腹痛, 微熱, 排便不調など軽い初発症状が約1週間持続した後に急性腹症 (腹痛, 嘔気, 嘔吐) を来たし, 汎発性腹膜炎 (腸管穿孔疑い) の診断で緊急外科手術となった。術前検査では血液炎症所見に比べ理学的所見に乏しく, 画像上必ずしも遊離ガスを認めず診断に苦慮したが, 開腹で子宮穿孔が確認され, 3例中2例は予後不良であった。今後の高齢化社会では本疾患の増加が予想され, 高齢婦人の急性腹症での鑑別疾患の1つとして重要と思われる。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.49.631